数年前に第1巻が出たっ切りもう続きは出ないのかと思っていた『特攻の島』が書店の平台に並んでいたので買った。

酸素魚雷を下地に開発された“人間が乗って操縦する魚雷”というえげつない兵器を取り巻く人間模様を描いた作品だ。
第2巻は、帝国海軍第一航空艦隊司令長官大西瀧治郎が自ら発案した神風特別攻撃隊の第一次攻撃にあたり、搭乗員24名の前で訓示を行なった史実をモチーフにした場面から始まっている。

あれ、24人より多いや……。
神風特別攻撃隊24名は敷島隊、大和隊、朝日隊、山櫻隊の4部隊に分けられた。わたいは不勉強で内訳を正確に知らないが、人数は各隊均等に配分されたわけではない。
攻撃隊のなかでも、指揮官関行男大尉の率いる敷島隊が最も名前の通りがよいだろう。

関大尉の出身地愛媛県西条市にある慰霊碑。たまたま2010年の秋に訪れた楢本神社の鳥居脇に建てられていた。
敷島隊5機は直掩4機を従えて飛び立ち、結果を残している。
第2巻冒頭の訓示に続く見開きは、その出撃時をイメージして5機の零戦を描いたものと推測される。

あれ?
お腹に抱えているのは増槽ではないか。
増槽は補助燃料を詰めたタンクで、航続距離を必要とするときに用いられる。零戦がこれを備えて飛ぶのは巡航しているときで、会敵すれば運動の妨げにならないよう切り離して捨ててしまう。
特攻するためには敵に会うまで飛び続けなければならないので、燃料を充分に積んで出撃すること自体にはなんの不思議もない。
しかし神風特別攻撃隊は、先の大西瀧二郎が「零戦に250キロ爆弾を抱かせて敵艦に体当たり」と発案したとおり、爆弾を抱いていないとただ自分が壊れて果てるだけで目標を沈めるほどの破壊力は発揮できない。

楢本神社境内に建つ神風特別攻撃隊記念館には、250キロ爆弾の現物が展示されている。
これを零戦のお腹に取り付けた懸架装置にぶらさげて、増槽の代わりに抱えて飛んだのだ。

あ、増槽のまま行っちゃダメ。
……。
話は進んで、第二次攻撃に臨む回天の金剛隊。
主人公が攻撃地点まで運んでもらう伊53は、行程半ばで敵航空機部隊に発見される。

正面からだと判別しにくいけれど、なんだろうこの機体。雷撃できるならTBF アベンジャーか?
なんか近づいてきた機のピトー管の付き方を見るとF6Fヘルキャットっぽくも見えるが、まさかな。
その謎の機体は高度を下げると、伊53目がけて腹に抱えていた魚雷を発射。

え!?
主人公と同時にわたいも「え!?」と申し上げた。
また増槽か。
どんだけ増槽好きなのよ作者。
やっぱりヘルキャットだったのかも……。
そんな尾びれも推進力もないモノ、どうやって当てるつもりなのか。

ドゴォオオ
当たった。
えー…………。
■特攻の島 2巻
佐藤秀峰
芳文社コミックス
ISBN:978-4-8322-3232-7
590円+税
芳文社
ついでに
■特攻の島 1巻
ISBN:978-4-8322-3052-2
590円+税
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