『スタートレック:クリンゴン』 さあプログラムを起動しよう #1701jp #startrek #st45jp
TOSの頃には名誉とはとんと縁のなかったクリンゴンの方々も、メイクが変われば気持ちも変わるのか(メイクって言うな)、TNG以降はすっかり名誉好きの生き物に変化した。
iOSアプリ『スタートレック:クリンゴン』は、名誉にかぶれたあとのクリンゴン社会をシミュレートしたホロデッキプログラムを通して、クリンゴンの生活、文化、風俗を体験できる映像体験アトラクションだ。
アドベンチャーゲームに分類されるこの作品、メインはクリンゴンをフィーチャーした最新映像(TNGオンエア当時)を見せること。お話しは一本道で、間違った分岐を選ぶと居合わせたクリンゴンのみなさんからひたすら叱責され、正しい分岐を選ばない限り前には進まない安心設計。クリアできずに不名誉な死を迎えストボコーにも行けず彷徨うこともない。
叱責してくれる筆頭は、この作品の狂言回しでもある太郎冠者ことガウロンさまだ。
プレイを始める、すなわちホロデッキプログラムを起動させたら、地球人たるあなたはクリンゴン人となってなにやらホームパーティーの会場に立っている。
画面はすべてあなたの目線だ。あなたの視界がそのまま画面になっている。
「うぁっはははははははっ! 殺したばかりの獣の肉が! やはり一番だぁ」とはしゃぐクリンゴンのおっさんと目が合うだろう。
あなたに気付いたおっさんは「はぁっはははははははっ……あぁ~あ、ここにいたぞ狩りの主役が。ポック、来い、息子よぉ」と声をかけてくる。
あなたはポックと呼ばれるクリンゴンの男性で、目の前のご機嫌なおっさんは父親らしい。
「我が息子は、なんと! この星で一番大きなトクナグを、槍で見事しとめたのだーぁ、っはっはっはっはーっ。とても誇らしいことだ」
親バカ丸出しの父がもしゃもしゃ食べながら誉めちぎっていた肉が、そのトクナグのようだ。トクナグがどんな獣なのかは知らないが(画面左下の右三角をスワイプしてメニューの「SCAN」をタップして出てくる関連画像によれば地元のジビエらしい)、大きい大きいと自慢するくらいだから、ハムスター程度のものではないだろう。あなたは自分で狩ったその獲物がなんだったかよくわからないまま酔っ払いの賞賛を受けることになる。
父は続ける。「それに、明日には飛翔の日を迎えて、俺は息子を誇らしく“戦士”と呼べるッ、はっはっはっはっはー。我が息子に! 先祖たちと同じ道を歩むことを選んだ、ポックに! カプラ!」
飛翔の日は一定の年齢に達したクリンゴン男性が戦士であることを周囲に認めてもらうための多少野蛮な儀式だ。尖った電流イライラ棒のようなもので突かれながら、ガマンして指定の距離を真っ直ぐ歩く。歩き切れば晴れて戦士として認められるという。
ちなみにそれから10年経つとクリンゴン戦士は再びイライラ棒で突かれなければならない。ウォーフがエンタープライズDのホロデッキで臨んだ飛翔の儀式がそれだ(TNG第2シーズン#40「イカロス伝説 The Icarus Factor」)。仮免許だった戦士免許を本免許に更新する意味合いの儀式である。一度取ったらそれっきりの資格免許が多いなか、なかなか良心的なシステムだ。流血しながら歩くだけでまったく飛んだり翔んだりはしていないがそこは敢えて問うまい。きっと元のクリンゴン語ではしっくりとくる名称なのだろう。
父の発音は「戦士」が訛ってたまに「センス」と聞こえるが気にしない。とにかくあなたは明日イライラ棒で突かれることになると今判明したのだ。
ご機嫌な父が下手に去ると、残された凸凹コンビは「カプラッ!」と唱和しながら向かい合ってのけぞり、反動で互いに頭突きを食らわせ合う。酔っているのか、いつものハイタッチなのか。
向かって右の背の低いほうが接近して手を伸ばしてきた。どうやらあなたは彼に頭を掴まれたようだ。
「カプラーッ! ッンーーッ!」
(バチコーンッッ)
ろくでもない連中だ。だがこれがクリンゴン式であるならば、あなたはこれからパーティで出会った方々の頭を引っ掴んでパチキを食らわせるのが戦士としての嗜みだと心得たい。
彼らが同期なのか先輩なのか兄弟なのか親戚なのかは、ここまでのところまったくわからない。
なんだなんだ、酔っ払いの生態ばかり紹介していて、叱責係のガウロン冠者はいつまで経っても出てこないではないか、とお思いか。
お待たせした。満を持して今からいよいよ登場!
だがその前に。
データハウスビーグル作品の栄えあるブログレビュー係を仰せつかい、既にゲームをクリアしてクリンゴン戦士となったみなさんをご紹介差し上げよう。
■Digital Wackys
わっきさん
iPhoneアプリ「スタートレック:クリンゴン日本語版」レビュー
■ぴゅうぷらざ
ピュウピュウさん
「スタートレック:クリンゴン」
■DaHjaj gheD
茶月さん
[Hov leng: tlhIngan] vIQujta'!
それぞれの独自の視点から繰り出されるレビューは、同じゲームをプレイしているとは思えないくらいだ。きっとあなたの参考になる話があるに違いない。
そしてお待たせのガウロンさま登場はこのあとすぐ!
(なんだ、続くのか)
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