2017.03.25

エンタープライズ乗組員採用試験 答え合わせ(公式版)

先般医療部門への採用を目指して受験していた試験の結果が発表された。

■緊急事態発生[エンタープライズ号]撃破!
 乗組員(クルー)大募集! 採用テスト
 ―正解発表―
 http://universal-cp.jp/startrek-beyond/answer/

公式回答 私家版回答
Q1 1 1
Q2 3 3
Q3 5 5
Q4 1 1
Q5 4 4
Q6 4 4
Q7 3 1
Q8 2 2
Q9 3 3
Q10 1 1
Q11 1 1
Q12 2 2
Q13 3 3
Q14 4 4
Q15 2 2
Q16 3 3
Q17 4 4
Q18 1 1
Q19 5 5
Q20 3 3

第7問の正答は「防衛技術の開発と敵の情報収集を行う士官の訓練」だった。
どうやら設問の指示語「そこ(ロンドンの地下)で」が生きていたようだが、わたいはこの選択肢を“そういうことをしていてもなんらおかしくはないものの、劇中での言及はないので落ちる”と一刀両断のコメントを添えて即座に排除している。そういう表現が出てくるとすればマーカス提督がクロノス派遣前のカークとスポックへセクション31の話を得意気に話していたときと思われるが、そのようなことを言っていただろうか。いずれ確かめてみなければなるまい。

最も悩まされた第5問は、何の注釈もなく「デルタ・メガ領域M7惑星」が正答とされていた。解せないが致し方なし。


採否の結果は2017年3月24日19:00にメールで送られてきた。

厳正に抽選させていただいた結果、 ご当選されましたのでお知らせいたします。

当選賞品:109シネマズ全国共通鑑賞券ペアチケット

おめでとうございます。


おおおお!
参加賞をいただけた! ひゃっほう!

ありがとうございますキャンペーンの中の人!

押し戴いて『ゴースト・イン・ザ・シェル』を観よう。

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2017.03.06

エンタープライズ乗組員採用試験 答え合わせ(私家版)

世界最遅で日本公開された映画『スター・トレック BEYOND』は、これもおそらく世界最遅でパッケージ化され、2017年2月22日を公式発売日として流通が始まっている。

当家には発売日より1日早い2月21日に楽天ブックスから配達された(ひゃっほー!)。その週末日本語吹替版を視聴。気になっていた字幕のあんなところやこんなところがよくなっていたりそのままだったり、わりとアレだったのがぐっと魅力的になっていたりして、発見も多く楽しめた(カトー無闇にかっこいい!)。

そんななか、Blu-ray/DVD発売に合わせた販促キャンペーンが行なわれているのに気づき、滑り込みで参加。

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1月27日(金)~2月20日(月)に「艦長候補」「航海士」「通信担当」「医療担当」「機関部」のいずれかにエントリー。
応募要項では“職種”を選べとのことだが、エントリー先のうち艦長だけが候補だったり、職種なら航海士に合わせて通信士、あとは医療部員、機関部員でいいのに、職名だったり部署名だったり、職名でも部署名でもない担当者だったりと、ざっくりして整っていない組織と窓際人事担当者の存在を感じさせる。
これが本当の求人票ならこんな所に人生を託していいのかと不安になるが、これはこれで劇中の惑星連邦と宇宙艦隊の振り幅の大きな人事を好む大雑把な組織をよく再現しているとも言える。

応募先の職種/担当/部署により、採用時には以下の品々が現物支給されるそうだ。

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エントリー〆切から2日後の2月22日(水)に、試験問題の表示されるURLが配布された、。受験者は3月5日(日)23:59までに回答を済ませるという段取りだ。

さて、ただいま3月6日(月)の0:00を回ったところで、回答が締め切られたと思われるので、早速答え合わせを試みてみよう。


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第1問の答えは「カークの父親の父の名前」。

ST2009の冒頭では、妻ウィノナから「あなたのお父さんの名前はどう」と言われたジョージ・カークは「それ最悪。きみのお父さんの名前(ジェイムズ)にしよう」と答えた。その後ウィノナはちゃっかりミドルネームへタイベリアスを押し込んだ模様。

ほかの選択肢を見ておこう。「カークの母親の父の名前」はジェイムズ、「カークの出身地の名前」はアイオワ(州)、「カークの愛する惑星の名前」は謎、「カークの父が飼っていた犬の名前」は知らないが、『インディ・ジョーンズ最後の聖戦』のラストで、ハリソン・フォード演じるインディアナ・ジョーンズ のファーストネーム“インディアナ”は当時飼っていた犬の名だったと父ヘンリー・ジョーンズがバラしたシーンを想起させる。


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第2問、ウフーラがゴネて乗船拒否した船は「USSファラガット」。乗っていればワープアウト直後に死んでいるわけで、耳がよくてゴネ得なだけではなくかなりの強運の持ち主だ。

ほかの選択肢「USSオデッセイ」はTNGに出てきたギャラクシー級の連邦艦船と同名。ST2009には出てきていない。「USSケルヴィン」はウフーラがゴネるずいぶん前に、ネロのナラーダに撃沈されている。
残る3つはヴァルカンからの救難信号に応えて出撃した8隻のうちの3隻で、この3択での錯誤が出題者の狙いか。しかし、当該8隻が「USSニュートン」「USSファラガット」「USSウォルコット」とUSSアンタレス、USSアームストロング、USSフッド、USSトルーマン、USSエンタープライズであることを覚えている者などひとりもいないだろうし、そこを覚えているなら当然ウフーラがゴネて移った船の名前を忘れるはずはないから、引っかけにならなかったのではないか。

なお、設問では「ブリッジにウフーラを迎えられなくなった」とさもファラガットの逃した魚は大きかったかのように記しているが、ウフーラはそもそもブリッジ要員ではない。
第二船体の奥底にある謎の大部屋にたむろする有象無象のひとりでしかなかったウフーラは、たまたまカークに呼ばれたのをいいことに上席に断わりもなく持ち場を離れ、仕方なくカークを追う体で着いてみたらそこがたまたまブリッジで、常勤の通信士がたまたま異星の言語を聴き分けられなかったためにたまたま代わって席に座ったが最後、当面の用事が済んでも自分の持ち場へ戻る気配すら見せず、まるで既得権益であるかのようにブリッジの通信席に居座っていただけだ。強運で耳がよいだけでなく、かなりゴネ得で扱いづらい人物であることを我々視聴者は忘れてはならない。


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第3問、チェコフのフルネームは「パベル・アンドレーヴィッチ・チェコフ」。劇中では名を問うパイクに対し「チェコフ、パベル・アンドレーヴィッチ」と答えている。

ほかの選択肢はどれも錯誤を狙うロシアっぽい(ポーランドあたりも混じっている)文字列だが、「ハラショー」はさすがにひどい。「シャスタコビッチ」は、ロシアの作曲家ショスタコーヴィチあたりから拝借しているのかもしれないが推測に過ぎない。


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第4問、パイクが嚥下させられた自白強要虫は、「ケンタウルス・ナメクジ」。もとの名は「Centaurian slug」。

映像を見たところでは節足動物っぽくて我々の知る軟体動物のナメクジには見えない。設問でも「宇宙“昆虫”」と言い切ってしまった(昆虫は節足動物)。しかし本人が“ナメクジ/slug”だと言い張るのだからナメクジなのだろう。

ちなみにST2でテレルとチェコフを操るのに使われた“セティイール/Ceti eel”も鰻っぽくは見えず、むしろぬるぬるとムチンのような粘液を残しながらチェコフの頬を這っていたあちらのほうがややナメクジ寄りだったくらいだ。

日本語には“虫”という、これさえ付ければ大きさや種類を問わずなんでも虫扱いできる便利で曖昧な言葉があるが、英語の虫的なものを示す語(bugやらinsectやらwormやら)それぞれにもう少しはっきりしたイメージがあって、大枠で括るような使い回しができないのかもしれない。

ほかの選択肢はいずれもST世界には出てこない。ただ錯誤を狙ってST世界に由来する星の名や地名を冠してある。


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第5問。これが今回最も困った問題だ。この第5問がなければ当記事を書こうとは思わなかった。

まず、設問が不正確である。

スポックの手で」「下船させられたカークがたどり着いた先」と聞いて真っ先に浮かぶのは、「(惑星デルタ・ヴェガにある)惑星連邦の前哨基地」だ。しかし選択肢はすべて「スポックの手で」カークを下船させた(送り込んだ)先を想定した内容。「カークがたどり着いた」という表現で、カークが自助努力でどうにかこうにか行き着いた先を問うかのように思わせておいて、いずれの選択肢とも一致しない。

設問は単純に言えば、「指揮命令に反対されて頭に血の上ったスポックは、昏倒させたカークをどこへ“島流し”にした?」ということだろう。

設問の主旨がそうだとして、次は選択肢が不正確である。

正答は“デルタ・ヴェガ(という名前で呼ばれる)Mクラスの惑星”になるはずだが、その選択肢がない。

最も近いのは「デルタ・メガ領域M7惑星」だが、なんだそのメガでしかも領域でさらにM7って。HDDにパーテーションでも切ったのか。

AOSにおけるデルタ・ヴェガはヴァルカン星系にあるMクラスの惑星という設定。TOS第1シーズン「光る目玉/Where No Man Has Gone Before」に出てくる同名の惑星から名前を採ってAOSで使った、と脚本家が述べている。

閑話休題(当ブログはすべてが閑話だが)。仕方がないので選択肢を削っていこう。

まず「惑星ホルバーグ917G」はTOS第3シーズン「6200歳の恋/Requiem for Methuselah」でフリントが住んでいた惑星なので落ちる。
地球・アメリカのアイオワ」だとしたら地球に氷河期が訪れている気配濃厚で、ネロの攻撃を待たずして人類は瀕死だ。
イドア星系アレックス惑星」は当ブログをお読みになる方にはおなじみ、まんが宇宙大作戦の主人公アレックス中尉(イドア人)をいきなりぶち込んできた飛び道具。

明らかに違う3つの選択肢を削ると、残るは「オメガ星域W-4惑星」と先ほどの「デルタ・メガ領域M7惑星」。

おそらくオメガとWのほうは、デルタとMに引っかけて間違えさせようとする罠のつもりなのだろうが、そもそも「デルタ・メガ領域M7惑星」がおかしいのだから困り果てる。デルタ・メガならぬデルタ・ヴェガは星そのものの名前であり星域でもなければ“領域”でもないし、M7に至ってはMクラスをどう取り違えてこう言っているのかさえわからない。

まさかとは思うが、出題者は正答を「オメガ星域W-4惑星」だと本気で信じていて、本当の正答「Mクラス惑星のデルタ・ヴェガ」を改変した「デルタ・メガ領域M7惑星」のほうは引っかけるための罠にしているつもりなのかもしれないと裏の裏を読んでしまう。

待てよ、出題者は戸田奈津子先生なのか!?

――どうしたものかと実時間で10分ほど逡巡するも、「デルタ・メガ領域M7惑星」をこの試験問題上の正答としておく。

この第5問がセンター試験なら、新聞各紙をにぎわせてしまうことだろう。


ここまでの5問がST2009からの出題、ここからの5問はSTIDからの出題となる。


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第6問、スポックの異動先の船長は「アボット船長」。彼はカークとスポックの立ち話に割って入って「フランク・アボットだ」と自己紹介している。

ほかの選択肢「ギリアム」はST2009でカークやスポックら士官候補生をUSSエンタープライズへ運んだシャトルクラフトの名前。
シュワーク」はそれっぽい名前の映画監督はいるもののSTとの関係は不明。
ワイズ」はTMP監督ロバート・ワイズからか?
ヒューストン」はNASAのビジターセンターのある場所。いずれもSTに船長なり大佐なりで登場していた覚えのある名前は見当たらない。


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第7問、ジョン・ハリソンは攻撃したわけではなく破壊工作の糸を引いたわけだが、回答を選ぶにあたっては直接の影響がないので置くとしよう。

この設問は控えめに申し上げて日本語がもうひとつで、意味を取りづらい。指示語「そこで」の指し示すところは、素直に読めばロンドンのデータ保管庫の地下であり、つまりデータ保管庫の地下で進められていたミッションは何かを問うているように見えるが、選択肢を眺めるとセクション31そのものが進めていたミッションを問うているようにも読める。設問が曖昧なので、選択肢を消しながら考えていくことにする。

まず「巨大戦艦の設計・建造」。ロンドンの地下だとすると設計はできるが建造はできまい。セクション31そのもののミッションとすれば、残る。
タイムマシーンを開発し、過去の出来事を変える」は、STでやったらもう別の番組になっちゃってアカンやつということを横に置くとしても、そういう描写はなかったので落ちる。
防衛技術の開発と敵の情報収集を行う士官の訓練」は、そういうことをしていてもなんらおかしくはないものの、劇中での言及はないので落ちる。
遺伝子操作によって強化した人間を、クローン兵として大量に生産する」は、スター・ウォーズが混じってるのに目を瞑ったとしても、優生人間はクローン兵ではないし、そもそもこの時代の産物ですらないので落ちる。
超小型転送装置の開発」は、STXでデータがピカードに披露していたが、STIDでカーンが使ったトランスワープ転送技術は超小型が売りでもないうえ、開発はスコット、技術を応用して小型化したのはカーンなので落ちる。

となると、「巨大戦艦の設計・建造」しか残らない。設問の「そこ(ロンドンの地下)で」が気になってなんとなく腑に落ちないが、これを正答と見做す。


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第8問。これも第7問同様に設問を記す出題者の気持ちが先走っていて、選択肢との整合性にやや欠けるきらいがあるのだが、「攻撃力とは?」という問いなので、“攻撃力”に注目して判断しよう。

圧倒的な火力」は直球ど真ん中で、まさに“攻撃力”そのものを示しておりそのとおりと申し上げるしかない。一応残す。
ワープ中のエンターブライズ(原文ママ)に追いつき、攻撃を行う」の、前段は従来の連邦艦船にはない特殊な能力ではある。だがそれは“攻撃力”なのか?という疑問が生じる。とはいえ後段で「攻撃を行う」と言っているので一応残す。
巨体での体当たり」はいざとなったらやけくそでするかもしれないが、劇中では見られなかったので落ちる。
レーダーを無力化する粒子を機体から散布する」というミノフスキー理論的な機能には聞き覚えがなく、仮にあったとしても防御の機能であって“攻撃力”ではないので落ちる。
3つのパーツに分かれてのフォーメーション・アタック」はUSSプロメテウスかウルトラホーク1号か0テスター1号かシュピーゲル号に任せる。

残ったのは選択肢のひとつめとふたつめ。劇中ではどちらにも「苦しめられた」様子が描かれていたので、いずれが正解でもまったくおかしくない。

設問の“攻撃力”を重視すれば文句なくひとつめだ。しかし気持ちの逸っている出題者の意図を汲めば、おそらくワープしているエンターブライズ(原文ママ)に追いついた点を強く推したいのだろうと拝察し、ふたつめの「ワープ中のエンターブライズ(原文ママ)に追いつき、攻撃を行う」を正答としておく。

――引っかけに引っかかっているかもしれない。
あるいは出題者に引っかける気持ちなど毛頭なく、ワープで追いつくのが“攻撃力”だと心底信じて疑っていないのかもしれない。


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第9問。ST映画ではSTIDで初めて使われたIMAXカメラ。選択肢のうちIMAXカメラで撮影されたのは「サンフランシスコで繰り広げられる、スポックとカーンの追跡シークエンス」。

ほかの選択肢のうち「USSヴェンジェンスの登場シーン」は全面的にCG。
カークとカーンが光速でエンタープライズからヴェンジェンスに乗り移るシーン」は、あれが“光速”で飛翔していたのだったらあんなに飛んでる描写の尺は要らないしデブリも避けられないしスコットがハッチ開けてる暇もないと思うが、それはさておきIMAXで撮る意味のないシーン。
同じく「スポックとスポック大使が会話するシーン」も、シャトル格納庫の片隅にそれほど奥行き感や拡がりは必要がない。

残る「カーンが宇宙連邦本部の会議室を攻撃するシーン」にはちょっと迷ったので、手持ちディスクの特典映像にて、使われているカメラを確認した。会議室シーンは普通のPANAVISIONのカメラ、一方追跡シークエンスの撮影されたドバイのロケ地ではIMAXカメラを使用している様子が認められた。


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第10問はサービス問題。正答は「トリブル」。

ほかの選択肢「ホルタ」はTOS第1シーズン「地底怪獣ホルタ/The Devil In The Dark」でマッコイが「わたしは医者だ。石屋ではない/I'm a doctor, not a bricklayer.」とぼやきながら修繕(治療)した珪素生命体。
サーゴン」はTOS第2シーズン「地底160キロのエネルギー/Return to Tomorrow」に登場した50万年前から生き残っていた3体の生命体のひとり。
ヤネルク」は誰?
キーンザー」はAOSにおけるスコットの相棒で、牡蠣の殻みたいな皮膚を持つ無口な技術士官。


ここまでSTIDからの出題。このあとはすべてBEYONDより。
なぜかここからの設問と選択肢はこれまでよりあっさりさっぱりしていて出題者にお疲れの様子が見える。勢い答え合わせも簡単になるのはご容赦願いたい。


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第11問の答えは「30」。カークの生年はTOSでもAOSでも2233年3月22日。

なお、カークが誕生日を迎えたのは設問に記された「映画の冒頭」ではなく、映画の最後でクルー有志から祝ってもらったとき。
チェコフのロッカーからマッコイがパクってきたグレンフィディック30年を勝手に開封して飲んでいるときが誕生日の数日前であることは、「誕生日を祝おうと思って」と言うマッコイに答えるカーク本人の台詞からわかる(「That's in a couple days.」)。


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第12問は第10問の選択肢にあった「キーンザー」。

ほかの選択肢はそれっぽいのを並べて錯誤を狙うもので、ST由来の小ネタなし。


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第13問は「母の形見」。ヨークタウン基地上陸時に、スポックを呼び止めて返却を申し出たウフーラがそう言っている。

なお、設問の「送った」はよくある誤植で、正しくは「贈った」。


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第14問は「スールー」。ヨークタウン基地に住む旦那の名前はベン(演じるのは共同脚本家のひとりダグ・ユング)。娘の名前は未公開。


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第15問、惑星アルタミッドに不時着した際、怪我を負ったスポックの治療に当たったマッコイがヴァルカン人の心臓は人間でいう「肝臓」の位置にあったっけ、と問うたとき、スポックが「それで合っている」と答えている。

ヴァルカン人の内臓の位置や生化学的な所見についてはTOSで複数回触れられている。
TOS第1シーズン「恐怖のビーナス/Mudd's Women」のラストシーンでは、今回のできごとが心の奥深く刻まれる、と話しながら左胸に手を置いたマッコイが「お、こりゃ失礼。君(スポック)の場合は心というのは、ここだったな/Oh, I'm sorry. In your case, it would be about here.」と言いながら、左脇の肋骨の下あたりを左拳で叩いてみせる。
第2シーズン「カヌーソ・ノナの魔力/A Private Little War」では、冒頭のシーンで、うっかり赤シャツを連れてこなかったものだから代わりに撃たれてしまったスポックを診察するマッコイが、「心臓の位置が地球人と違ってて幸いだった/Lucky his heart's where his liver should be or he'd be dead now.」と述べ、まさにBEYONDでの台詞の下敷きになっている。
また、第2シーズン「細菌戦争の果て/The Omega Glory」では、スポックを“悪魔の使い”に仕立ててその場を凌ごうとするトレイシー船長が「(悪魔だから)彼には心臓がない/He has no heart.」と述べ、それを聞いてスポックの左胸に耳を当てたヤン族の長が「音が聞こえない!」と驚く描写がある。もちろん、本当に心臓がないわけではない。
ついでだが、平均的な人間の心拍数が1分間60回なのに対し、スポックの脈拍はそのおよそ4倍。一方、血圧はほとんどないに等しい(第1シーズン「魔の宇宙病/The Naked Time」)。
このような人間との身体構造の違いを指摘されるたびにスポックは、「あなた方と違っているのが自慢ですからね。一緒にしないでください」とうれしそうに述べるのが常である。


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第16問、スコットは出会ったときからジェイラをスコットランド語で「lassie(お嬢さん)」と呼び、吹替版では「お嬢ちゃん」と呼んでいる。そのとおりの選択肢はここにはないが、「お嬢さん」でよかろう。

なお、設問の「惑星アルタミット」は、正確には「アルタミッド/Altamid」と濁る。


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第17問、USSフランクリンがENTでも言及されたことのあるガガーリンベルトで消息を絶ったのは、スコットのセリフ「Went missing in the Gagarin Radiation Belt in the early 2160s.」によれば「2160年“代”の初め」。

したがって設問も選択肢も正確性に欠けるが、選ぶとすれば「2160年」となろう。


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第18問は「20人」。

吹替版でスコットが最初の転送救出時にチェコフへ言った「一気に20人運ぶぞ!/We're gonna grab them 20 at a time.」を下敷きにした設問。
厳密には、このシーンの前の作戦会議中にカークから最大転送可能人数を問われたスコットが、「機器を調整して20人、続けてできるかどうかは不明」という主旨の答えを返しているので、安定して20人を運べるわけではないようだ。実際、映像で描かれている2回目の転送ではキーンザーを含む10人程度しか転送していない。
その経緯を踏まえれば「一気に20人運ぶぞ!」は積極的な意味合いではなく、チェコフに対して“一度に20人までだぞ、わかってるな?”という確認と、視聴者に対して“覚えてらっしゃると思いますけどただいま20人以下しか一度に運べないっていう設定なんですよ、念のため”という注意喚起の台詞だと思われる。

ほかの選択肢は「101人」が鼠んちのダルメシアンっぽいのを除いて、特に意味はない。


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第19問、USSフランクリンにあった古いバイクは「PX70」。スティーブ・マックィーンの映画『大脱走』にインスピレーションを得て登場させたとのことだが、トライアンフTR6と似ているのは色だけ。

ほかの選択肢「THX1138」はジョージ・ルーカスの映画デビュー作のタイトル『THX 1138』から。「RX78」は連邦の白い悪魔。「HD24P」はHDTV映像信号の規格のひとつ。本来30フレーム/秒だった規格をジョーズ・ルーカスが映画撮影用に24フレーム/秒にしてよとソニーにおねだりして作られたという。「R16」は16歳未満は鑑賞できないか、国道16号線。


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第20問、チェコフの最後の台詞はカークの誕生パーティーでナタリアを口説きつつ画面奥から右手前へはけていくとき述べていた「Do you know that scotch was actually invented by a little old lady in Russia? Not many people know.」。
よって厳密には「みんな知らないんだけどね/Not many people know.」が最後の台詞。しかし選択肢にはないので、その直前の「本当はスコッチはロシアの女性が発明したんだ」を正答するのであろう。


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お疲れさまでした。

もしも出題者や主催者がこちらを目にされて「スタトレめんどくさい。もう関わらない」と思われたらST界にとっての大損失なので、一線を越えてしまう前にこのあたりでお開きとしたい(充分越えてるだろ)。

上述のなかでわたいがやらかしていることも充分あり得るので、あくまでも私見による回答であることをご了承いただきたい。このぶんだと全体の正答率は高いのではないかと思われる。

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2016.11.25

beyond BEYOND

本日2016年11月25日金曜日。訪問できる範囲にある映画館で『スター・トレック BEYOND』が終わった。

08:30~11:00 T・ジョイPRINCE品川(東京:品川)
19:10~21:25 イオンシネマ港北ニュータウン(神奈川:センター北)
20:35~22:50 TOHOシネマズ渋谷(東京:渋谷)
21:00~23:15 シネマイクスピアリ(千葉:舞浜)

大トリはシネマイクスピアリ。23時15分、ただいま上映終了。

前々作ST2009や前作STIDが、二番館、三番館へと箱を移しながら細々と上映し続けていたことを思うと、ほぼ1ヵ月で潔い往生となった。

銀座シネパトスやシネマート六本木など、上映終盤を引き受けて最後まで粘っていた映画館が閉館してしまったのも影響しているのかもしれない。

終わったものは仕方がない。吹替版を楽しみに、日本版Blu-ray/DVDの発売まで、海外輸入版で凌ごう!

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2016.11.24

どこでもアルタミッド

標高8000メートルあたりで貯め込んだ位置エネルギーを真下に向けてどんどん使いながら、突然上向きの加速に丸ごと転換する23世紀の操船技術でおなじみのU.S.Sフランクリン。

その立体物が、合衆国にて発売されている4KフォーマットのBlu-rayにおまけでついている。

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おまけと言えばグリコの我々にはおまけとは思えない圧巻のクオリティ。

台座と船体下部との接続には磁石が用いられており、船体側には鉄板が備えられているので、今どきどのご家庭にもあるネオジム磁石の束を活用すれば、惑星アルタミッドで自由落下に臨むフランクリンの雄姿を再現できる。

ほら、断崖絶壁を落ちていくジオラマだって簡単だ。

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まさにST艦船模型展示のフロンティア。

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レンジフードでもアルタミッド。

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物干し竿だってアルタミッド。

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いいぞ、フランクリン! 100年野ざらしだったとは思えない良好な保存状態に、レストア業者もA++査定だ!

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さあ、あなたもご家庭で思うさま叫ぼう。

エニタイームミスタースールー!(Any time, Mister Sulu!)

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2016.11.18

ウフーラ・ザ・ドッペルゲンガー

日本では来週の木金あたりでロードショーの終焉を迎えつつある『スター・トレック BEYOND』。世界最速で公開したアメリカ合衆国ではすでにこの11月1日からディスクが発売されている。

本国発売から遅れること約1週間で手元に届いたBlu-rayを眺めつつ、映画館で観てきたあれやこれやを改めて確認するBEYOND後夜祭が続いているわけだが、まずはこの場をお借りして「カークの誕生パーティに出てくるティーナックスの生命体の片割れの名は、ケルヴィン/Kelvinじゃなくてケヴィン/Kevin」だったことをお知らせするとともに、お詫びして訂正したい。
字幕翻訳をなさった松崎広幸さま、ポンコツな耳で聞いておきながら勝手に「ケルヴィンじゃね?」とか言い募って申し訳ございませんでした。ごめんなさい。

さて、己の愚かな間違いにも気づきつつ、映画館で見当を付けていたものの確信の持てなかった小ネタを、スローモーションや止め画で見られるのもご家庭視聴のよいところだ。

ロードショーが始まる前に巷で流れていた予告編映像やスチールと、実際に映画館で観た本編との違いで、気になるところがあった。

予告編やスチールには、惑星アルタミッド上の陽の当たる時間帯に、大勢のクルーと一緒に捕まっているウフーラとスールーの姿が確認できる。パンフレットではP.28の「ウフーラとスールー」という記事の上に使われた写真のシーンだ(なお、Blu-ray特典映像の「カットされたシーン」には収録されていなかった)。


(Star Trek Beyond | Trailer #1 | パラマウント ピクチャーズ ジャパン)


1分05秒頃の映像ではちゃんと台詞のあるシーンだったようだが、本編では使われていない。


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なんか言ってる様子


なぜなら、スールーは有象無象のクルーと一緒に宇宙空間で捕まって地表に連れてこられているが、ウフーラはクラール専用艇に乗りVIP待遇で惑星アルタミッドに降り立っており、ひとりだけ地下へ直接ご案内されているからだ。

つまり捕まったとき、我々の知るかぎりウフーラは地表に立って陽光を浴びていない。

だが、予告編1:04頃に大勢のクルーが地上を歩かされているシーンでは、右手遠方をウフーラとスールーが並んで歩いている。

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の位置にウフーラとスールーがいる


冒頭に気になるところがあったと申し上げたのは、ここだ。

同じようなシーンは本編にもある。もしかしてこのとき撮った映像を使っているのでは?

そう思って映画館で見当をつけていたシーンをBlu-rayで確かめた。
34:54頃の様子がこちら。

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当然のようにスールーと並んで歩くウフーラ


どうやらケルヴィンタイムラインには、別のタイムラインからやってきたスポックプライムとは異なるメソッドを用いて同じタイムラインに存在するウフーラがいるようだ。

きっと前作STIDから3年足らずの調査飛行の間に起きた転送事故のようななんらかの事象により、音楽を愛で小鳥のような声で歌うウフーラと、格闘に長け装甲服をまとう異星人を素手でばったばったとなぎ倒すウフーラとに分かれているのだろう。

次回のリブート第4作はカークパパの登場するタイムトラベルものと言われているがそれはフェイクで、星雲を抜けて“フロンティア”へ繰り出した途端、〈フランクリン〉号に転送収容されないまま惑星アルタミッドに取り残されていたいずれかのウフーラと激突。人間性とは何かを、分裂ウフーラとのすったもんだによって広く啓蒙する骨太のSFドラマ『二人のウフーラ/The Enemy Within』になるに違いない。


ちなみに、前後にいるのはブリッジクルーや、転送で救出されU.S.S.フランクリンに収容された方々。

 ・ウフーラからふたり後ろの青シャツ:額に青いワッペンを貼っている風の異星人男性。捕虜として活躍。救出時最初の転送収容者のひとり
 ・ウフーラの前を歩く青シャツ:金髪ショートの地球人っぽい女性。ブリッジクルー。救出時最後の転送収容者のひとり
 ・いちばん手前の金シャツ:黒髪でインド人っぽい女性。ブリッジクルー。救出時最後の転送収容者のひとり

動いている映像のほうがわかりやすいので、Blu-ray、DVDをお持ちの方はお試しを。

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2016.11.15

毎日が挿話の寄せ集めのように感じられてきたときに使うマグカップ

劇場公開のたびに余計なグッズを買い込んでしまうのは不治の病だ。その不治の患者として、劇場グッズはなぜあんなに「なんかちょっと違う……」というものばかりなのか、と申し上げたい。

ロゴ入れてそれっぽい雰囲気ならいいでしょ、と言わんばかりの雑な作りに毎回毎回ノックアウトだ。それをひととおり買ったり場合によっては予備まで買ったりして散財するのだから、レフェリーのテンカウントが終わってもしばらく立ち上がれない。

このたびのBEYONDについて言えば3種類のカップが商品開発され、売り出されている。
BEYONDOロゴのマグと湯飲み、そして50周年ロゴのマグの3つだ。

しかし!

しかしだ!

本編をご覧になった方ならきっと思いを同じくされてらっしゃるであろう。

あれがないではないか!

あれをなぜ売らない!

あんな映像を見たら、当然帰りに売店へ寄ったとき売る気満々で大量に山積みになっているものと思うではないか!


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“あんな映像”を限りなく杜撰に再現


もちろん、本国公開時にそう考えたみなさんが現地には大勢いるに違いない。

そんななかのひとりが、自ら作って頒布しているのがこれだ。

 Captain Kirk's Mug from Star Trek Beyond

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もとはクラウドファウンディングのKick Starterでこぢんまりと資金集めをしていたもの。先頃投資家への配分を終え、現在は2016年12月前半までバックオーダーを受付中。

お値段はUS$20.00、お支払いはPayPalにて。国際配達料は要確認。

Brady Earl氏は、ほかにもTOSのコンピューターチップや、スター・ウォーズの再現小道具もひっそり販売中。

 Brady's Prop Shop


オークションサイトebayで検索しても、いくつか同様の手作り商品が出てくる。

 Details about Captain Kirk's Mug from Star Trek Beyond

こちらはBrady Earl氏のebayアカウント。
売値がUS$30.00、日本への送料はUS$22.75。1個だけ買って送ってもらうと6000円ほどするので、上述のサイトで聞いてみて比較したほうがいい。


 Custom Mug Based On Captain Kirks Mugs in Star Trek Beyond New Starfleet LogoCup

こちらはぐっとお安くてUS$12.99、送料はUS$5.99、およそ2000円で収まる計算。
難点は、劇中で使われている小道具のフォルムとはちょっと離れていること。それでも納得できる方向け。


 Captain Kirk "chris Pine" Star Trek Beyond Ikea Cup

こちらもお安くてGBP9.00だし、フォルムもそこそこ合っている。だが日本へ発送してくれるかどうかが明示されていない。出品者に直接問い合わせが必要。経験上、イギリスからの配送料はバカ高いので、おそらく予算と合わないと思われる。

マグのフォルムの再現性を考えると、Brady's Prop Shopのマグがおすすめ。

ただし、海外から送ってもらうとよくあることだが、ワレモノをワレモノと思わない雑な梱包のため、こういうことも起こり得る。

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十分気をつけて送ってね、と注意喚起を怠りなく!
(この件は既に連絡済みなので、おそらく次からはこれよりは多少丁寧に包んで送ってくれると思われる)

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2016.10.20

『別冊映画秘宝 スター・トレック完全読本』だいたい解析

世界最遅の限界を超えていた限界を超える映画『スター・トレック BEYOND』。ついに明日2016年10月21日から限界を超えた全国(おおよそ)一斉ロード・ショーに踏み切られる!

あたかも限界超越を祝うかのようにこの日に合わせ『別冊映画秘宝 スター・トレック完全読本(洋泉社MOOK)の限界を超える配本が始まった。

この本は、リブート第1作『スター・トレック』(ST2009)の公開時に発刊された『最新版スター・トレック ビギンズ』の改題、改稿版だ。


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なんだ、改訂版か。持ってるからイラネ

待って待って違うの違うのそうじゃないの。

2009年の『最新版スター・トレック ビギンズ』は表紙周りを除いた本体が224ページ。
昨日から配本の『別冊映画秘宝 スター・トレック完全読本』は同じく176ページ。

減ってんじゃん。やっぱイラネ

待って待って違うの違うのそうじゃないの

最新版スター・トレック ビギンズ』は同じ別冊映画秘宝でも“海外TVドラマ・マニアックス”というシリーズのVol.4にあたるムック本で、海外TVドラマの特集ページとしてSTを扱いました、という位置づけ。だから、総ページは224でも145ページ以降はほかの作品を紹介している。

対して『別冊映画秘宝 スター・トレック完全読本』は1冊丸ごとSTのみ。176ページ全てSTだけを扱っている。さらに表2、表3(表表紙と裏表紙のそれぞれ裏側)も敢えて広告やら宣伝やらを入れずSTネタで埋めている豪気な作り。

つまり前回比123.6%! 混じりっけなし!
お値段変わらず1500円! あらあらお得!

でも使い回しでしょ。ならイラネ

待って待って待って違うのそうじゃないの。

書店店頭で中身を比較検討できないよい子のみなさんのために、『別冊映画秘宝 スター・トレック完全読本』の目次に沿って、『最新版スター・トレック ビギンズ』との違いをお伝えしよう。


002 イントロダクション『スター・トレック』50周年
 序文。当然ながら新規書き起こしビギンズの「祝! 『宇宙大作戦』日本放映開始40周年!!」に該当。

004 リブート映画版『スター・トレック ビヨンド』徹底解析
 もちろん新規書き起こし。後半はネタバレ小ネタ。

012 『スター・トレック』世界の基本、教えます
 「スター・トレックとは? 「宇宙大作戦」基本解説」に該当。用字用語など表記統一をいじっている以外はそのまま。

018 「まんが宇宙大作戦」からリブート版まで 写真で見る「スター・トレック」全・シリーズ・ガイド
 新規書き起こし。TAS、TOS映画、TNG、DS9、TNG映画、VGR、ENTを見開きで、AOSは1ページで解説。まんが宇宙大作戦にすら2ページを使う贅沢なカラーページで感涙に堪えない。

034 知識ゼロからの『スター・トレック』入門
 改訂。「知識ゼロからの『スター・トレック』入門」に該当。デザイン、レイアウトは同じものの、テキストはあちこち書き換えてある。

042 『スター・トレック』は世界最大の長寿SFドラマ
 「世界最長・最大の映像SF」の流用。小見出し「劇場版は11本が公開!」の数字が今回も前回と同じなのはご愛敬。

044 1966年『宇宙大作戦』から2017年『ディスカバリー』までの50年 『スター・トレック』の歴史、パーフェクト・ガイド
 増補。各シリーズ1ページで紹介されていたのが2ページに増強された。来年放送予定のディスカバリーにも1ページ割いたりして、情報量が増えている。

061 メイキング・オブ・『スター・トレック』
 扉はノンブルを外しただけの完全流用。柱(共通したページの同じ場所に配置されているデザインの一種)の「BEGINS」を「完全読本」に変更していないのはご愛敬。本文は「原作者ジーン・ロッデンベリーの挑戦」そのまま。

078 『宇宙大作戦』全3シーズンエピソード・ガイド
 「『宇宙大作戦/スター・トレック』エピソードガイド」そのまま。

136 1969~1971年、日本語吹き替え版制作の現場
 「メイキング・オブ『宇宙大作戦』1969-1971 ~日本語吹替版の現場~」そのまま。

140 特別寄稿『スター・トレック』との長い航海 矢島正明
 「特別寄稿! 矢島正明『スター・トレック』との長い航海」そのまま。

148 新たなる航海 アニメ版から劇場超大作へ
 「新たなる航海――アニメ版から劇場版へ」そのまま。
 ちなみに、“そのまま”の原稿でもテキストの流し込みは微妙に変わっている。

156 ルポタージュ 50周年記念コンヴェンション「『スター・トレック』/ミッション・ニューヨーク」 ノーマン・イングランド
 新規書き起こし。ニューヨークのジャヴィッツセンターにて2016年9月2日から3日間行なわれたコンヴェンションへの参加レポートで、ラスベガスのコンヴェンションとはまた違う雰囲気が行間から立ち上る9ページ。

165 行ってきました! STコンヴェンション 児嶋都
 新規書描き起こし。同じくミッション・ニューヨークのイラストレポート。

166 特別寄稿『宇宙大作戦』が未来から残した遺産 ネクスト・ジェネレーション三部作を再考する 高橋ヨシキ
 新規書き起こし。TNG、DS9、VGRが500時間以上をかけて描いた24世紀の世界観を、このMOOKの表紙デザインや先のミッション・ニューヨークレポートの翻訳も手がけてらっしゃる高橋ヨシキ氏が考察。

174 最終総論『スター・トレック』の魅力 岸川靖
 新規書き起こし。〆の一文。


――というわけで、本文176ページ+表紙裏2ページのうち、およそ60ページ超が新規原稿とわかった。

なお、総ページ数はビギンズより少ないが束(本の厚み)は増えている。紙がしっかりしているからで、インクの発色もよくなっている。

近くに書店のある方はおでかけのついでに、ない方は今すぐネット書店でポチるだけの判断材料になっただろうか。

拙速は避けたいが善は急げという言葉もある。

ビギンズを持ってない方は今すぐ買おう。
ビギンズを持っている方は限界を超えて買おう。


別冊映画秘宝スター・トレック完全読本
 洋泉社
 2016年10月19日 配本開始
 本体1,500円+税
 ISBN:9784800310460
  →amazon(アフィリエイトなし)
  →amazon(アフィリエイトあり)

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2016.10.12

BEYOND世界最遅レビュー【ネタバレほぼなし】

大規模一般試写会(東京エリア:有楽町よみうりホール)を明日(2016/10/13)夕方に控え、またユナイテッドシネマでは初日の時間割も発表されて、いよいよ公開ムードが高まってきた今日この頃。

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リブート3作目『スター・トレック BEYOND』の世界最遅公開を寿ぎ、世界最遅レビューを認めた。

―― ネタバレはほぼないが、どんな些細なこともネタバレと感じてしまう方は、本編をご覧になるまで決して読まないようご注意いただきたい。ネタバレを気にしない方でも何が引き金になって後悔するかわからないのであくまで自己責任でご判断願いたい。なお、本編をご覧になったあとではたいして意味のない内容なので、まるで読まなくて大丈夫 ――


------------ 以下ネタバレほぼなし(当社比)

STファンを公言してはばからないサイモン・ペッグが脚本に参加したことで、無駄にウフーラ推しだったST2009やSTIDと一線を画し、マッコイがメインキャラに返り咲いた。これによりTOSでおなじみだった三バカ――もといトリオ・ザ・漫才が復活。マッコイは全編通してほぼスポックと一緒に行動するため、緑色の血の悪魔に対する毒舌も冴えわたる。

既存のシリーズ6本と映画12作からこれでもかと採り入れた小ネタを振りまきつつも、そんなことをまるで知らない新規のお客さまにも素直に楽しんでいただけるコメディSFアクションに仕上がっている。

スタトレ映画は奇数が駄作」とこれまで流布されてきた。しかし、ようやくこの定説を打ち破ったのがこの作品ではないかと思うただし筆者はST5が大好きなのでその点をお含みおきいただきたい)
リブートシリーズの中では唯一このBEYONDが、これまでのスタトレ映画最高峰『ギャラクシー・クエスト』に迫る作品だと断言する。

映画が始まって10分もすればいきなりクライマックスで、「それやっちゃうの!?」という展開に、とりわけ古いファンは魂を抜かれたような気持ちになるだろう。一方で、ああいうタイプの艦対艦戦闘はSTでは新鮮でなるほどと思わせる。

ホワイトベースでさえ古くから伝わる錐の戦法には弱かったわけで、惑星連邦宇宙艦隊最新鋭艦といえどもあれにはお手上げだ。スポックはもうどうしょうもないタイミングで「交戦する準備ができていません」と進言していた。彼の言う“準備”が整っていたら、どんな展開になったのかには興味がある。

主要なブリッジクルーをコンビにして動かしたことで、それぞれに見せ場もありつつ個性も表現できた。各キャラを深く掘り下げてない、という批判を耳にしたが、フィルムの長さと扱う人数の多さから、それを望むのは酷だろう。内面を深く掘り下げるような作品により価値を見出すタイプの観客は、ほかのもっと登場人物が少なくてひとりに時間を割ける映画を観たほうがいい。

とはいえ、こいつの内面はもうちょっと掘り下げて表現してくれないと話の見えないところがあるんですけど――というのが今回の敵、クラールだ。

もちろんそこかしこの台詞でちらほらと背景が語られてはいるので、落ち着いて繋ぎ合わせればひととおりのことはわかるようにできている。

だが、わかりづらい。

STIDのカーンみたいに突然饒舌になってピーチクパーチク恨み辛みを涙目で語りまくられてもドン引きだが、もう少しやりようはなかったのか、と惜しまれる。

さて、今回監督として指揮を執ったジャスティン・リンはどうやらJJエイブラムスより仕事が細やかだ。

JJによる前2作にしばしば見られた雑な編集の繋ぎがない。
まだ落ちてないロミュランブラスターが落ちている映像を落ちる前に繋いだ――パッケージ発売時に修正/ぶら下がっていた片手が、アップと引きで逆/キャプテンの後ろにいるクルーが、スクリーンにカメラを振って戻ってきたら制服の色から人種まで違う別のクルーに変わってる――いずれも修正なし などなど枚挙に暇なし

むしろ、最後のほうでウフーラがクラールの正体に気づくきっかけとなった映像の重要な一部分が物語序盤で観客の目に触れないよう、カークの身体でさりげなく隠して撮ったり、ジェイラ用の転送シグナルトランスポンダーの置き位置が終始矛盾のないよう映像表現されていたり、細かいところをおざなりにしないその精緻な画面作りが心地よい。ジャスティン・リンが監督をしてくれてよかった。本当によかった。

唯一の矛盾は、クラールの正体がわかった直後に彼の情報が映し出されるモニタ画面の右下に記されていた船籍番号が、台湾で見た世界最速同時公開時のフィルムではまるで明後日の聞いたこともない番号(NCC-7317)だったこと。自分で直接手を下さない部分で足下を掬われたジャスティン・リンの心中いかばかりか。

しかし日本公開時のフィルムでは問題の映像のその部分をピンポイントで抜け目なくきちんと直しているあたり、本国制作スタッフのプロ根性を見た思いだ。世界最遅ならではの“完全版映像”が提供されることとなった日本の観客のみなさんは幸運であろう。

その点、明らかに間違っていたり事実誤認したりしている少なくとも3ヵ所が公開版まで頑として修正されなかった日本語字幕には、若干の失望を禁じ得ない。もっとも吹替版ではおそらく是正されているうえに、ますますおもしろく楽しめる翻訳がなされていることは間違いない。STIDでもそうだったからだ。

今はただ、吹替版を観たくて観たくてしょうがない。
とりわけSTIDで超絶開花した“モンゴメリー・スコッティ”の吹替に、今回も期待大!

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新キャラとスコットとの掛け合いを日本語で味わえる日が待ち遠しい

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2016.09.24

世界最遅でもいい、たくましく育ってほしい

こちらはみなさんおなじみの、STAR TREK BEYOND 公開年月日公式一覧表。


Stbeyondwrd


そしてみなさんおなじみの日本での公開日。


Stb_oct21


!! OCTって何!
10月だよ
知ってるよOCTが何かは!


したがって、やむを得ず遠征することとなった。

Img_7330s

ちなみに台湾は7月22日公開、と今も明記されている。


Stb_jul22

だが実際には本国同様7月21日が初日だった。

じゃあ、日本も10月21日じゃなくて20日にやるかも!
やらないよ


こちらが日本の劇場で配布されているチラシ。公開日はなるほど10月21日。
左が8月に、右が9月にいただいてきたもの。

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なんか言ってる。

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最後のミッションへ


4作目の構想を早々にJ.J. エイブラムスが公言しているのだが、「最後のミッション」だと?

裏はこう。上が8月の配布、下が9月の配布。


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またなんか言ってる。

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最後の戦い

「最後」というのは、カークの個人的なアレか?

たった一人、見知らぬ土地に投げ出されたカークの

予告編を観るだけでも、カークは単身で行動してはいないが、「たった一人」というのはカークの精神的、内面的なアレか?


――たった1億2730万人、世界最遅の土地に投げ出された日本人の限界を超えた公開待ちの幕が開いてはや2ヵ月
がんばれ! ニッポン!(JOCにより商用利用不可)

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2015.12.17

理解力が及ばぬ故の「BEYOND」(予告編じらし版)

海賊王になりたい人が応援の名目で宣伝することで話題の映画が明日18日に公開となるが、その前座として本国同様流してほしいなあと期待される2016年公開の『STAR TREK BYOND』初めての予告編(じらし版)が、2015年12月15日にあっちからこっちからリリースされては消されリリースされては消されした後ようやく本来出せる権利を持っているらしきところが出したようで今は安定供給されているというぐだぐだの業界の事情に大の大人が振り回されて一喜一憂する様のほうがむしろ興味深かった昨今だが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

映画『スター・トレック ビヨンド』(STAR TREK BEYOND[原題])オリジナルトレーラー

(東和ピクチャーズ公式チャンネル)

この予告編の最初のほうで、連邦艦ではなさそうな艦のブリッジにいるスポックは、背後にぼんやり佇むチェコフの着る〈USSエンタープライズ〉のジャケットとはデザインの異なるものを羽織っている。

その左肩に貼られたアップリケ(ワッペンだろ)から、明らかに〈USSエンタープライズ〉ではないほかの艦のジャケットであることがわかる。

ちなみに肩周りの意匠も違ううえ、差し色が赤なので、スポックは自分に配給されたジャケットではなく、他人のジャケットを借りパチしている可能性がある(借りはともかくパチは違うだろ)。あるいは前作『スター・トレック イントゥ・ダークネス』時のチェコフのように、「お前エンジニアに興味あるんだっけ? じゃ今からチーフな。赤シャツ着ろよ」と言われて配属替えになっているのかもしれない。


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それはともかく、さて、〈USSエンタープライズ〉じゃなければどの艦か。

映像はアップリケ(ワッペンだから)の文字をはっきりと読み取れるほど鮮明ではないが、かなり高解像度でキャプチャされた画像を見るかぎり、艦名の2文字目は「R」、3文字目は「A」、全体では8文字程度に見えなくもない。

これまでの作品に出てきた艦名を虱潰しに調べてみると、近いのは「USS BRADBURY」。前作でスポックが左遷先として告げられた艦とも符合する。ただし、キャプチャ画像では最初の文字が「B」ではなく「F」に見えたり、「USS」の「U」がほぼアンダーバー「_」みたいに欠けて見えるなど、デジタルならではの乱れがあるため、「RA」と見えている部分もたまたまそう見えるだけかもしれず予断を許さない。

予告編で「艦を失った」というセリフが指すその失われた「艦」が、編集のミスリードでそう思い込まされているのではなく、映像を観たまんま〈USSエンタープライズ〉のことだとすれば、沈む艦から逃げ出したブリッジクルーたち(ウフーラとスールーはその他大勢と一緒に捕虜収容所的な所に集められているので自力で脱出したかどうかは謎。チェコフに至ってはまるで謎)を再び集め、スポックがどうにかして駆り出してきた〈USSブラッドベリ〉に助けられ、敵性種族の艦を奪いみんなでわいわい乗り込んで宇宙の危機をまた救い、最後は相変わらずなんでもありの艦隊本部のお偉いさんの計らいで艦籍番号を書き換えられた〈USSブラッドベリ〉が「NCC-1701A」の〈USSエンタープライズ〉として調査飛行を続けることとなり、『スター・トレック4 故郷への長い道』にちなんだ「Let's see what she's got.(吹替:まずは小手調べだ/字幕:試してみろ)」というカークのセリフで出航して〆るという筋書きを読めなくもないが、ありがちな推測、あり得ない推論の域を出ていないに違いない。

これは、これから公開までの間、大の大人がああでもないこうでもないと斯様に振り回されていく、狂気に満ちた物語である(音楽盛り上がり、CM後に本編開始)

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