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2016.10.20

『別冊映画秘宝 スター・トレック完全読本』だいたい解析

世界最遅の限界を超えていた限界を超える映画『スター・トレック BEYOND』。ついに明日2016年10月21日から限界を超えた全国(おおよそ)一斉ロード・ショーに踏み切られる!

あたかも限界超越を祝うかのようにこの日に合わせ『別冊映画秘宝 スター・トレック完全読本(洋泉社MOOK)の限界を超える配本が始まった。

この本は、リブート第1作『スター・トレック』(ST2009)の公開時に発刊された『最新版スター・トレック ビギンズ』の改題、改稿版だ。


20161020


なんだ、改訂版か。持ってるからイラネ

待って待って違うの違うのそうじゃないの。

2009年の『最新版スター・トレック ビギンズ』は表紙周りを除いた本体が224ページ。
昨日から配本の『別冊映画秘宝 スター・トレック完全読本』は同じく176ページ。

減ってんじゃん。やっぱイラネ

待って待って違うの違うのそうじゃないの

最新版スター・トレック ビギンズ』は同じ別冊映画秘宝でも“海外TVドラマ・マニアックス”というシリーズのVol.4にあたるムック本で、海外TVドラマの特集ページとしてSTを扱いました、という位置づけ。だから、総ページは224でも145ページ以降はほかの作品を紹介している。

対して『別冊映画秘宝 スター・トレック完全読本』は1冊丸ごとSTのみ。176ページ全てSTだけを扱っている。さらに表2、表3(表表紙と裏表紙のそれぞれ裏側)も敢えて広告やら宣伝やらを入れずSTネタで埋めている豪気な作り。

つまり前回比123.6%! 混じりっけなし!
お値段変わらず1500円! あらあらお得!

でも使い回しでしょ。ならイラネ

待って待って待って違うのそうじゃないの。

書店店頭で中身を比較検討できないよい子のみなさんのために、『別冊映画秘宝 スター・トレック完全読本』の目次に沿って、『最新版スター・トレック ビギンズ』との違いをお伝えしよう。


002 イントロダクション『スター・トレック』50周年
 序文。当然ながら新規書き起こしビギンズの「祝! 『宇宙大作戦』日本放映開始40周年!!」に該当。

004 リブート映画版『スター・トレック ビヨンド』徹底解析
 もちろん新規書き起こし。後半はネタバレ小ネタ。

012 『スター・トレック』世界の基本、教えます
 「スター・トレックとは? 「宇宙大作戦」基本解説」に該当。用字用語など表記統一をいじっている以外はそのまま。

018 「まんが宇宙大作戦」からリブート版まで 写真で見る「スター・トレック」全・シリーズ・ガイド
 新規書き起こし。TAS、TOS映画、TNG、DS9、TNG映画、VGR、ENTを見開きで、AOSは1ページで解説。まんが宇宙大作戦にすら2ページを使う贅沢なカラーページで感涙に堪えない。

034 知識ゼロからの『スター・トレック』入門
 改訂。「知識ゼロからの『スター・トレック』入門」に該当。デザイン、レイアウトは同じものの、テキストはあちこち書き換えてある。

042 『スター・トレック』は世界最大の長寿SFドラマ
 「世界最長・最大の映像SF」の流用。小見出し「劇場版は11本が公開!」の数字が今回も前回と同じなのはご愛敬。

044 1966年『宇宙大作戦』から2017年『ディスカバリー』までの50年 『スター・トレック』の歴史、パーフェクト・ガイド
 増補。各シリーズ1ページで紹介されていたのが2ページに増強された。来年放送予定のディスカバリーにも1ページ割いたりして、情報量が増えている。

061 メイキング・オブ・『スター・トレック』
 扉はノンブルを外しただけの完全流用。柱(共通したページの同じ場所に配置されているデザインの一種)の「BEGINS」を「完全読本」に変更していないのはご愛敬。本文は「原作者ジーン・ロッデンベリーの挑戦」そのまま。

078 『宇宙大作戦』全3シーズンエピソード・ガイド
 「『宇宙大作戦/スター・トレック』エピソードガイド」そのまま。

136 1969~1971年、日本語吹き替え版制作の現場
 「メイキング・オブ『宇宙大作戦』1969-1971 ~日本語吹替版の現場~」そのまま。

140 特別寄稿『スター・トレック』との長い航海 矢島正明
 「特別寄稿! 矢島正明『スター・トレック』との長い航海」そのまま。

148 新たなる航海 アニメ版から劇場超大作へ
 「新たなる航海――アニメ版から劇場版へ」そのまま。
 ちなみに、“そのまま”の原稿でもテキストの流し込みは微妙に変わっている。

156 ルポタージュ 50周年記念コンヴェンション「『スター・トレック』/ミッション・ニューヨーク」 ノーマン・イングランド
 新規書き起こし。ニューヨークのジャヴィッツセンターにて2016年9月2日から3日間行なわれたコンヴェンションへの参加レポートで、ラスベガスのコンヴェンションとはまた違う雰囲気が行間から立ち上る9ページ。

165 行ってきました! STコンヴェンション 児嶋都
 新規書描き起こし。同じくミッション・ニューヨークのイラストレポート。

166 特別寄稿『宇宙大作戦』が未来から残した遺産 ネクスト・ジェネレーション三部作を再考する 高橋ヨシキ
 新規書き起こし。TNG、DS9、VGRが500時間以上をかけて描いた24世紀の世界観を、このMOOKの表紙デザインや先のミッション・ニューヨークレポートの翻訳も手がけてらっしゃる高橋ヨシキ氏が考察。

174 最終総論『スター・トレック』の魅力 岸川靖
 新規書き起こし。〆の一文。


――というわけで、本文176ページ+表紙裏2ページのうち、およそ60ページ超が新規原稿とわかった。

なお、総ページ数はビギンズより少ないが束(本の厚み)は増えている。紙がしっかりしているからで、インクの発色もよくなっている。

近くに書店のある方はおでかけのついでに、ない方は今すぐネット書店でポチるだけの判断材料になっただろうか。

拙速は避けたいが善は急げという言葉もある。

ビギンズを持ってない方は今すぐ買おう。
ビギンズを持っている方は限界を超えて買おう。


別冊映画秘宝スター・トレック完全読本
 洋泉社
 2016年10月19日 配本開始
 本体1,500円+税
 ISBN:9784800310460
  →amazon(アフィリエイトなし)
  →amazon(アフィリエイトあり)

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2016.10.12

BEYOND世界最遅レビュー【ネタバレほぼなし】

大規模一般試写会(東京エリア:有楽町よみうりホール)を明日(2016/10/13)夕方に控え、またユナイテッドシネマでは初日の時間割も発表されて、いよいよ公開ムードが高まってきた今日この頃。

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リブート3作目『スター・トレック BEYOND』の世界最遅公開を寿ぎ、世界最遅レビューを認めた。

―― ネタバレはほぼないが、どんな些細なこともネタバレと感じてしまう方は、本編をご覧になるまで決して読まないようご注意いただきたい。ネタバレを気にしない方でも何が引き金になって後悔するかわからないのであくまで自己責任でご判断願いたい。なお、本編をご覧になったあとではたいして意味のない内容なので、まるで読まなくて大丈夫 ――


------------ 以下ネタバレほぼなし(当社比)

STファンを公言してはばからないサイモン・ペッグが脚本に参加したことで、無駄にウフーラ推しだったST2009やSTIDと一線を画し、マッコイがメインキャラに返り咲いた。これによりTOSでおなじみだった三バカ――もといトリオ・ザ・漫才が復活。マッコイは全編通してほぼスポックと一緒に行動するため、緑色の血の悪魔に対する毒舌も冴えわたる。

既存のシリーズ6本と映画12作からこれでもかと採り入れた小ネタを振りまきつつも、そんなことをまるで知らない新規のお客さまにも素直に楽しんでいただけるコメディSFアクションに仕上がっている。

スタトレ映画は奇数が駄作」とこれまで流布されてきた。しかし、ようやくこの定説を打ち破ったのがこの作品ではないかと思うただし筆者はST5が大好きなのでその点をお含みおきいただきたい)
リブートシリーズの中では唯一このBEYONDが、これまでのスタトレ映画最高峰『ギャラクシー・クエスト』に迫る作品だと断言する。

映画が始まって10分もすればいきなりクライマックスで、「それやっちゃうの!?」という展開に、とりわけ古いファンは魂を抜かれたような気持ちになるだろう。一方で、ああいうタイプの艦対艦戦闘はSTでは新鮮でなるほどと思わせる。

ホワイトベースでさえ古くから伝わる錐の戦法には弱かったわけで、惑星連邦宇宙艦隊最新鋭艦といえどもあれにはお手上げだ。スポックはもうどうしょうもないタイミングで「交戦する準備ができていません」と進言していた。彼の言う“準備”が整っていたら、どんな展開になったのかには興味がある。

主要なブリッジクルーをコンビにして動かしたことで、それぞれに見せ場もありつつ個性も表現できた。各キャラを深く掘り下げてない、という批判を耳にしたが、フィルムの長さと扱う人数の多さから、それを望むのは酷だろう。内面を深く掘り下げるような作品により価値を見出すタイプの観客は、ほかのもっと登場人物が少なくてひとりに時間を割ける映画を観たほうがいい。

とはいえ、こいつの内面はもうちょっと掘り下げて表現してくれないと話の見えないところがあるんですけど――というのが今回の敵、クラールだ。

もちろんそこかしこの台詞でちらほらと背景が語られてはいるので、落ち着いて繋ぎ合わせればひととおりのことはわかるようにできている。

だが、わかりづらい。

STIDのカーンみたいに突然饒舌になってピーチクパーチク恨み辛みを涙目で語りまくられてもドン引きだが、もう少しやりようはなかったのか、と惜しまれる。

さて、今回監督として指揮を執ったジャスティン・リンはどうやらJJエイブラムスより仕事が細やかだ。

JJによる前2作にしばしば見られた雑な編集の繋ぎがない。
まだ落ちてないロミュランブラスターが落ちている映像を落ちる前に繋いだ――パッケージ発売時に修正/ぶら下がっていた片手が、アップと引きで逆/キャプテンの後ろにいるクルーが、スクリーンにカメラを振って戻ってきたら制服の色から人種まで違う別のクルーに変わってる――いずれも修正なし などなど枚挙に暇なし

むしろ、最後のほうでウフーラがクラールの正体に気づくきっかけとなった映像の重要な一部分が物語序盤で観客の目に触れないよう、カークの身体でさりげなく隠して撮ったり、ジェイラ用の転送シグナルトランスポンダーの置き位置が終始矛盾のないよう映像表現されていたり、細かいところをおざなりにしないその精緻な画面作りが心地よい。ジャスティン・リンが監督をしてくれてよかった。本当によかった。

唯一の矛盾は、クラールの正体がわかった直後に彼の情報が映し出されるモニタ画面の右下に記されていた船籍番号が、台湾で見た世界最速同時公開時のフィルムではまるで明後日の聞いたこともない番号(NCC-7317)だったこと。自分で直接手を下さない部分で足下を掬われたジャスティン・リンの心中いかばかりか。

しかし日本公開時のフィルムでは問題の映像のその部分をピンポイントで抜け目なくきちんと直しているあたり、本国制作スタッフのプロ根性を見た思いだ。世界最遅ならではの“完全版映像”が提供されることとなった日本の観客のみなさんは幸運であろう。

その点、明らかに間違っていたり事実誤認したりしている少なくとも3ヵ所が公開版まで頑として修正されなかった日本語字幕には、若干の失望を禁じ得ない。もっとも吹替版ではおそらく是正されているうえに、ますますおもしろく楽しめる翻訳がなされていることは間違いない。STIDでもそうだったからだ。

今はただ、吹替版を観たくて観たくてしょうがない。
とりわけSTIDで超絶開花した“モンゴメリー・スコッティ”の吹替に、今回も期待大!

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新キャラとスコットとの掛け合いを日本語で味わえる日が待ち遠しい

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2016.10.01

2016年のMotoGPカレンダー

すっかりシーズン終盤となった今になって2016のカレンダーをひっそりと置くのは、中途半端な下書きを作ったまま半年以上忘れていたからだ。

2015シーズンがどんなだったかそろそろ忘れかけている。確か久しぶりのシーズン優勝を目前にしたロッシがセンシティブになり過ぎてマルケスをはじめスペイン人ライダーを口撃してみたり走路を塞いでみせたりしてGPシーン全体がとげとげしい雰囲気に包まれたのを同じイタリア人のドヴィチオーゾが冷ややかに見るという幕切れだったように思う。

一時は目も合わさないほど険悪だったロッシとマルケスは、ルイス・サロム選手の悲劇をきっかけに関係を修復し、最悪から普通くらいに戻った状態で現在に至る。

マルケスと同じスペイン人というだけで巻き込まれてロッシと険悪になっていたチームメイトのロレンソは、関係修復のきっかけのないまま来期はドゥカティへ移籍することがシーズン半ばに決定。

辛抱を覚えたマルケスは安定のポイントリーダーとして「会計士モード(余計なバトルを避けてポイントを稼ぐことを優先する賢いモード)」に入ったと言われつつシーズン優勝に突き進むなか、2位争いはヤマハワークスの険悪なふたり。

このホンダ、ヤマハワークスにドゥカティを加えた6強時代を予感させつつ、シーズン中盤はホンダサテライトやスズキワークスも交えた入れ替わり立ち替わりの猫の目優勝で、毎回見どころ満載。残り4戦でこれまで優勝してないライダーが表彰台の真ん中に立つことがあれば、GP史上初となるそうだ。

さあ、今月はもてぎでの日本GP。宇都宮駅前の東横インはメンバーのみ予約の受付を開始する半年前の時点で、全室が瞬殺の満室だった。こりゃあ、述べ50万人は来場するぞ!(しないよ)


2016 MotoGP カレンダー
Round 01  3/20 カタール:ロサイル
 1:ロレンソY 2:ドヴィチオーゾD 3:マルケスH
Round 02  4/ 3 アルゼンチン:アウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンド
 1:マルケスH 2:ロッシY 3:ペドロサH
Round 03  4/10 アメリカ:オースティン
 1:マルケスH 2:ロレンソY 3:イアンノーネD
Round 04  4/24 スペイン:へレス
 1:ロッシY 2:ロレンソY 3:マルケスH
Round 05  5/ 8 フランス:ル・マン
 1:ロレンソY 2:ロッシY 3:ヴィニャーレスS
Round 06  5/22 イタリア:ムジェロ
 1:ロレンソY 2:マルケスH 3:イアンノーネD
Round 07  6/ 5 スペイン:カタルーニャ
 1:ロッシY 2:マルケスH 3:ペドロサH
Round 08  6/26 オランダ:アッセン
 1:ミラーH 2:マルケスH 3:レディングD
Round 09  7/17 ドイツ:ザクセンリンク
 1:マルケスH 2:クラッチロウH 3:ドヴィチオーゾD
Round 10  8/14 オーストリア:シュピールベルク
 1:イアンノーネD 2:ドヴィチオーゾD 3:ロレンソY
Round 11  8/21 チェコ:ブルノ
 1:クラッチロウH 2:ロッシY 3:マルケスH
Round 12  9/ 4 イギリス:シルバーストーン
 1:ヴィニャーレスS 2:クラッチロウH 3:ロッシY
Round 13  9/11 サン・マリノ&リビエラ・ディ・リミニ:ミサノ
 1:ペドロサH 2:ロッシY 3:ロレンソY
Round 14  9/25 スペイン:モーターランド・アラゴン
 1:マルケスH 2:ロレンソY 3:ロッシY
Round 15 10/16 日本:ツインリンクもてぎ
Round 16 10/23 オーストラリア:フィリップアイランド
Round 17 10/30 マレーシア:セパン
Round 18 11/13 スペイン:バレンシア

※アッセンは宗教的な理由で1949年から一貫して6月最終土曜に開催してきたが、土曜より日曜のほうが集客できそうだと気づいてとうとう日和った
元ネタ:motogp.com

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