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2016.07.29

ミッシングリンクの促進

ここしばらくはいろいろと50周年だ。50年前には画期的な作品が東西で続出しそれぞれに息が長いなと思う反面、それを食い潰していくのは小原庄助さんみたいだなとも思う。

スタートレックもチーム50周年の一員で、今回もまたくるみを変えて食い潰していくスタイルの商品が続々と発売されている。

そのうちの目玉のひとつが『宇宙大作戦(TOS)』TV全話と映画全6本プラスおまけ映像をBlu-rayでまとめてお届けしますという『Star Trek 50th Anniversary TV and Movie Collection』だ。

本国アメリカ合衆国では2016年9月6日の発売予定。本国放映からちょうど50周年にあたる9月8日より2日早く設定している理由はよくわからないが、記念日当日には全国津々浦々のお客様のお手元に満遍なく届いていてみなさんで一斉にご覧になれる状況作りを考えたのかもしれない。

日本では、これに遅れること22日、同年9月28日に発売される模様。ローカライズに時間がかかるのか、別に日本の初放映日とは関係ないから気にしてないのか、いずれにせよ映画『STAR TREK BEYOND』の劇場公開3ヵ月遅れよりはマシだ。

この手の過去発売作品のおまとめ系は、まだ持っていない人に「全部入りでお安いですから」と猫なで声で売りつけるのはもちろん、くるみを改めて目先を変え、ちょっと今まで入ってなかったおまけを添えることで既に持っている人にも「あんたまた買いなさいよ。少しでも違えば欲しいんでしょ」とプレッシャーをかけて毟り取るという戦略で成り立っている。

したがって、いかに「お得」で「今までとは違う」のアピールで心を打てるかどうかが、たかが数の知れている小さな小さな市場から何度も刈り取り何度も収穫を達せられるかの分かれ目になる。

それぞれの仕様は次のとおり。

【本国版】
形式:AC-3, Box set, Dolby, DTS Surround Sound, Dubbed, Subtitled, Widescreen
言語:English
吹替:French, German, Italian, Spanish
字幕:Dutch, English, French, German, Italian, Portuguese, Spanish
リージョンコード:Region A/1
ディスク枚数:30
予価:US$208.99 ※1 ※2
amazon.com:商品ページ
20160729a

【日本版】
形式:Color, Limited Edition, Widescreen
言語:英語
吹替:日本語
字幕:日本語、 英語
リージョンコード:リージョンA
ディスク枚数:27
予価:24,095円 ※1
amazon.co.jp:商品ページ

20160729b

※1 いずれの予価も2016/07/29現在
※2 US$160を切る販売店も存在する


日本版では音声の仕様に触れられておらず、Blu-rayのくせに収録言語が著しく少ないようだが、それはおくとして――ディスク枚数の差はなんなのか。

本国版「30」に対し日本版「27」。

既存のBlu-rayは『宇宙大作戦(TOS)』全3シーズンを20枚に収めている。この素材をそのまま使うとして、映画6作で6枚、特典映像で1枚加算して計27枚となる。

ちなみに本国版では初Blu-ray化となる
Star Trek: The Animated Series
と日本版にも入っているというポスター6枚のほかに
Collectible 50th Anniversary Starfleet Insignia Pin
がおまけに付く。
さらに以下の映像が入っているという。
The New Frontier: Resurrecting Star Trek
Maiden Voyage: Making Star Trek: The Motion Picture
The Genesis Effect: Engineering The Wrath of Khan
The Dream is Alive: The Continuing Mission
End of an Era: Charting the Undiscovered Country
Plus over 20 hours of bonus content!

少なくとも、日本版からは『まんが宇宙大作戦/Star Trek: The Animated Series(MUD/TAS)』が省かれているのは間違いない。

前述したように「あんたまた買いなさいよ」と二期作を試みるには、LDやDVDを惜しくも買い逃した人に新機軸を訴えなければならない。『まんが宇宙大作戦』のBlu-rayはうってつけではないか。

逆に、LDやDVDを買ってしまったような頭のおかし、いや熱心な人は、その熱心さのあまりこれでしかBlu-rayフォーマットの『まんが宇宙大作戦』が手に入らないとなれば、またまたうっかり買ってしまうかもしれないではないか。

ここで改めてそれぞれの商品宣伝写真をよくご覧いただきたい。

20160729c

20160729d


TAS第1シーズン『タイム・トラベルの驚異/YESTERYEAR』に登場する少年スポック(ST2009の少年スポックの元ネタでもある)が描かれたラベルが差し替えられている。

写っているディスクの総枚数は30枚のままという雑なコラージュだ。

わざわざ3枚省いたうえにTOS第3シーズンの怪作『盗まれたスポックの脳/Spock's Brain』のモチーフでコラまで作って『まんが宇宙大作戦』を日本市場から消し去ろうとしている意図を知りたい。

あるいは、来たる2017年の『まんが宇宙大作戦(MUD)』日本放映40周年、または2023年の『Star Trek: The Animated Series(/TAS)』本国放映50周年を華々しく記念するにあたって、単独パッケージでBlu-rayを日本で初売りするために、敢えて今回は見送って、小さな小さなごく小さな市場に飢餓感を植え付けるつもりなのか。

それならそれでいいや(いいのか)。

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コメント

お久しぶりです。
このブルーレイ時代、リージョンも同じで収録言語も字幕も入り放題なんだから北米版をパッケージだけローカライズで売りゃいいんですよね(笑)
ビヨンドも遅いしヽ(`Д´)ノプンプン

余談ですが日曜に嫁と「ペット」を観に行きまして、チケット列に並びながら大型モニターに流れるビヨンドの予告を発見。
嫁をつついて「あれが新しいスタートレックだ!見に来るぞ!」といいながらワープインするエンタープライズをみて「くー!たまらん!」と言って嫁を見たら、その後ろの綺麗なお姉さんと目があってお姉さんは「( ̄ー ̄)ニヤリ」とした。
やつはトレッキーだ。

投稿: 青影ぶいち | 2016.08.29 22:16

>青影ぶいちさん

ご無沙汰失礼しております。

日本だけにかぎらず、各国微妙に違う収録内容でリリースして独自性を競っているのは大人の事情なのでしょうか。まとめて作ってまとめて売って関係者のみなさんで分配なさればいいと思うのは素人考えなんでしょうかなあ。

>>ビヨンドも遅いしヽ(`Д´)ノプンプン

世界最遅!
イントゥ・ダークネスをさらに下回る遅さでネタバレ待ったなし!

>>余談ですが日曜に嫁と「ペット」を観に行きまして、チケット列に並びながら大型モニターに流れるビヨンドの予告を発見。

おお! 劇場で流れ始めているんですね。いよいよ盛り上がってきましたね!(笑)

>>やつはトレッキーだ。

ピクサーアニメ的な表情で「( ̄ー ̄)ニヤリ」が再現されました(笑)。
間違いないでしょう、その方はギークだ(笑)。

投稿: ANCHOR | 2016.08.30 12:44

ANCHORさんは恐らくこの業界の内部事情にある程度通じておいでなのではと想像しますが、日本側はどうしてもTASの存在をなかったものにしたいようなのですね。これはやはり「紀元3000年」が原因でしょうか? となると例えば「宇宙忍者ゴームズ」辺りも同様の扱いを受けているんですかね?
個人的にはTASの単独パッケージには「紀元3000年」とTOSと整合する新たな翻訳をしたのと両方の音声を収録して同じ画面で二つのシリーズが楽しめる仕様でお願いしたいです。

投稿: X^2 | 2016.09.08 21:35

>X^2さん

残念ながらさほど通じてはいないのですが、今回TASが入っていないのは予算の問題なのではないか、という業界識者のコメントを伺いました。
少しでもコストを抑えようと思ったら、まあ、このセットから一番最初に落ちるのはTASでしょうからなあ。不況になると企業がまず交際費を絞るみたいなものでしょうか。

>>これはやはり「紀元3000年」が原因でしょうか? となると例えば「宇宙忍者ゴームズ」辺りも同様の扱いを受けているんですかね?

「紀元3000年」には夢があっていいと思いますし、これのおかげで22分の制約で話を無理からに転がすための突拍子もない言動も「紀元3000年ならしょうがない」と納得性を高めてくれている実利もあるわけですから、もっと堂々と全面に押し出していったほうがいいと思うのです。
ゴームズさんたちも、吹替による新たな世界観の創出によってファンタスティックさが封じ込められてしまったのが、近年何度か映画化された折に言及さえしてもらえない一因なのかもしれませんなあ。

>>個人的にはTASの単独パッケージには「紀元3000年」とTOSと整合する新たな翻訳をしたのと両方の音声を収録して同じ画面で二つのシリーズが楽しめる仕様でお願いしたいです。

賛成です! 放送時の吹替はまさに『まんが宇宙大作戦』という世界ですから尊重してそのまま収録いただいて、TOS/宇宙大作戦の訳語や口調を用いて「実写版吹替の世界観」を再現した古くて新しいTASを表現していただけると、これに勝る喜びはありません。

投稿: ANCHOR | 2016.09.09 12:21

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