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2015.02.11

『矢島正明 声の仕事』が分厚い

ファイトォォ! いっぱぁぁあつ!」と、ナレーターは言っていないのに、この直後に流れるナレーターの声とフレーズを思い出せる人は多いだろう。

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ファイトで行こう!」のキャッチフレーズで始まった当時から、一貫してコマーシャルのナレーションを務めてらっしゃるのが矢島正明さんだ。
『0011ナポレオン・ソロ』のソロ(ロバート・ヴォーン)、『宇宙大作戦(宇宙パトロール)』のカーク(ウィリアム・シャトナー)をアテ、とりわけカークは矢島さんの声を得て軽く倍は賢く見えている。

外国テレビ・シリーズ(外画)に日本人の声をアテる吹き替えという概念と、それを行なう声優という職種が生まれたときからその現場で苦労を重ね工夫を尽くしてこられた大ベテラン、矢島正明さんの著作が一冊の本になった。

矢島正明 声の仕事


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表紙は高荷さつきさん。プラモデルの箱絵などで有名な高荷義之さんのお嬢さん


巻頭の口絵は16ページ。モノクロ写真24点とカラー写真8点とが掲載されている。

テアトル・エコー時代の舞台写真や楽屋風景、劇団のみなさんと草野球を楽しむオフショット、『0011ナポレオン・ソロ』で相棒イリヤ・クリヤキンの声をアテた野沢那智さんとの2ショット、さらにそのソロの吹き替えをしている現場の珍しい風景は、たまたまいらしていた小森和子さん(おばちゃま)がたまたまカメラに収めたものをたまたま矢島さんがいただいて保存してらしたとのこと。当時のアテレコ室の中の写真なんてあるんだ、と思って驚いた。

第一章『外画吹き替え風俗譚』(176ページ)には、アテレコ黎明期の現場の様子が活きいきと描かれている。

一発録音ならではの苦労と緊張とともに、昭和の外画、アニメをご覧になった方なら名前は知らなくても声は必ず聞いたことのある声優さんたちが吹き替え本番前に行なうそれぞれに独特な準備作法も知ることができて興味深い。『テレビの現場から1~6』は当時の雑誌連載からの収録、同7~10と6本のエッセイは、未発表原稿。


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スタトレ的な内容ももちろん含まれている


第二章『回想 ぼくの時間』(44ページ)は自叙伝で、雑誌『海外ドラマ アニマックス』連載全4回のうち、1~3回を収録。

第三章『紀行文 鐘たちの風景』(86ページ)は、イタリアとフランスを訪れた際のできごとを、“鐘の音”を縦糸にして紡いだ連作。現地へ赴いたことのある人には懐かしく、まだその経験のない人にはまるでその場に自分が立っているかのように感じさせる名文で、旅情を楽しませてくれる。すべて未発表原稿。


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充実のコンテンツ


第四章『座談会 ~吹き替えの深遠なる世界~』(37ページ)の前半は、『ナポレオン・ソロ』吹替版の第二シーズンが始まった頃、『週刊平凡(1965)』に掲載された野沢那智さんとふたりで受けたインタビュー記事の再録(なお同号にはウルトラ方面の着ぐるみ制作で著名な高山良策氏へのインタビュー記事や、実写映画『黄金バット』のティザー記事も掲載されている)。

後半は、2014年12月に矢島さんを囲んで行なわれた録り下ろしの座談会。メンバーは星野充昭さん(ジョーディ・ラフォージ:TNG)、大川透さん(エリム・ガラック:DS9)、青山穣さん(トゥボック:VGR)と岸川靖さん(岸川編集事務所代表)、そして司会の白石梢さん。海外ドラマに造詣の深い方々による濃~い話から今の吹き替え現場の話まで、惜しげもなくばんばん披露され読み応え充分。


結論: 今買うべし(笑)。


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分厚い

amazonでは“ソフトカバー”として紹介されているが、実物は上製本(ハードカバー)。花布や見返し、しおり(スピン)のエンジ色は、矢島さん自らが選ばれた色とのこと


矢島正明 声の仕事
矢島正明
2,800円+税
ISBN:978-4-8003-0533-6
洋泉社

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コメント

即買うべし!

ざっと目を通してみましたけど、充実の一冊ですよねー。
矢島さんの声がなかったら、ワタシ、船長にここまで惚れなかったのは確実ですwww

投稿: TamilAsano | 2015.02.17 05:13

>TamilAsanoさん

疾く買うべし!

矢島さんの声は日本全国のそこかしこに深い業を産み出しましたなあ(笑)。

充実の一冊とはいえまだ『木下恵介アワー』やラジオドラマ、ラジオパーソナリティ時代、『ベルトクイズQ&Q』『クイズタイムショック』問題読み上げからスタトレ追加録音や近年の朗読会などなど、記す足跡はいくらでもおありなので、ぜひこの本が売れに売れて続刊に結びつき、さらにはベテラン声優さんたちそれぞれのお仕事が記録に残るような方向に行くといいなあと思います。

投稿: ANCHOR | 2015.02.17 13:14

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