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2009.11.11

戦慄のスクリプター #00 予告編

映画(やドラマ)の撮影では、ひとつのシーンを一発撮りすることは珍しく、細かいカットに分けて撮影を繰り返し、最後に編集作業で繋いで作品に仕上げることが多い。

何度も同じシーンを取り直したり、途中で休憩を挟んでやり直したりするときに、役者の立ち位置や姿勢、大道具小道具の場所や状態が変わっていては、繋いだとき不自然になってしまう。

それを避けるため、大勢いる映画スタッフのなかには、細々した撮影中の様子を記録して次の撮影や編集に活かすという地味な業務を淡々とこなす記録係という人がいる。

スクリプター(scripter)とも呼ばれるらしいその人は、今撮影しているテイクが前後のシーンと矛盾しないよう気を配ったり、撮ったばかりのテイクがどういう状態のものかを控えておいたり、とにかく細かいことを地道に、しかも完璧にやり遂げなければならないという注意力、観察力に記憶力と忍耐力を兼ね備えた、縁の下の力持ちだ。

しかしスクリプターも人の子、たまにはうっかりしてしまうこともある。

2時間近い映画には、たいていひとつやふたつ、そんなうっかりが見つかるものだ。

たとえば1979年(日本公開1980年)の映画『スター・トレック Star Trek: The Motion Picture』。

新たな生命体となったヴィージャーから開放され、やれやれ地球に帰ろうかという最後のシーン。

ブリッジの船長席のうしろに並んで立つ、スポックとマッコイ。


20091111a


上着の左腕に付いている輪っかに注目。スポックはTMPでは科学部門を示す橙色、マッコイは医療部門を示す黄緑色の輪っかを装着している。


続いて、チャペル医師と一緒にブリッジへ入ってきたスコットから「バルカンまで送ろうか」と声をかけられ、「バルカンでの用事はもう済んだ」と応じるスポック。


20091111b


このカットでももちろんスポック橙、マッコイ黄緑だ。

ところがカークがコースを指示する場面に変わると……


20091111c


取り替えた!


服のサイズが違うのだろう。スポックはやや窮屈、マッコイはややぶかぶかの風だ。
少し目を離した隙に素早く着替え、息も切らさなければ姿勢も崩していないのはさすが艦隊の上級士官。

……とまあ、こういう超現象を極力減らすべく日々がんばっているのがスクリプターなのだ。

ところで、J.J.版『スター・トレック』では、この手の不思議な現象が全編を通じてしょっちゅう起きている。おそらく、スクリプターが小さなことを気にしない大らかな人柄なのか、監督自身が「こまけぇことはいいんだよ!」というタイプなのか、いずれかかその両方だろう。

このシリーズでは次回から、『スター・トレック』の謎めいた現象をいくつかご紹介する。

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コメント

こんばんは、TMP、呆れるほど見返していたはずなんですが、この場面はすっかり忘れてました。(笑)

なるほど、明らかに二人が服を取り替えてますね。
これはもちろんANCHORさんが仰るように、スクリプターのやってもうたなわけですが、
場合によっては衣装係にもその累が及ぶ可能性もありますな。

次回以降のJJ版も楽しみにしております。
(やっぱり個人的には「つかまれカーク」な場面かな(笑))

投稿: snow white | 2009.11.11 23:45

>snow whiteさん

わたしは劇場でアホほど観ていたのにまるで気付きませんでした。
そのうえ、公開前に、名古屋の丸善でバランタインブックス(多分)刊のフォトストーリーブックを買って読んでいた(正確には眺めていた(笑))のに、公開終了直後に気付きまして……。映像確認は4年後の1984年のテレビ放映まで待たねばなりませんでした。

>>場合によっては衣装係にもその累が及ぶ可能性もありますな。

なるほど、そうですなあ。
役者も「これ、ワシのじゃない」と言え、と思います(笑)。

>>次回以降のJJ版も楽しみにしております。
>>(やっぱり個人的には「つかまれカーク」な場面かな(笑))

ありがとうございます。「つかまれカーク」に至るまでの間、4つ5つご紹介できそうな期がしますので、しばらくお待ちください(笑)。

投稿: ANCHOR | 2009.11.12 12:27

> この手の不思議な現象が全編を通じてしょっちゅう
5回観ましたが、全く気が付きませんでしたorz

投稿: quark | 2009.11.14 00:17

>quarkさん

いえいえ、それだけJ.J.さんが勢いよく映像とストーリーを見せてくれたということかと。

投稿: ANCHOR | 2009.11.14 00:46

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