« 過去から来た新任務 | トップページ | 焼きなこもち »

2009.10.07

原子炉も核融合炉も持たない“ATOM”

じゃあ、ATOMじゃなくていいのでは。

という思いをヨソに、Astro BoyでもMighty Atomでもない『ATOM アトム』さんは2009年10月10日公開。

昨夜、試写会で吹替版を観てきた。

以前商品化されていたアトムのような憎々しげな雰囲気はないが、しょっちゅう口の片方の端だけを上げてしゃべったり笑ったりするアトムさんは、とってもシニカル。

誕生から挫折を経て使命を自覚するアトムの成長が縦軸になった物語で、ソツなくまとめられている。

だが……主役たちをはじめ全員が漏れなく薄っぺらいキャラクターで、各人からはその行動の動機や台詞の必然性がほどんど感じられない。まるで「観客には一切感情移入させないぞ」という制作者の強い意志で作られているのではないかと思わせる。アニメ映画として初めてのゴールデンラズベリー賞を授かっていいのではないか。

――アトムのモデルとなるトビー少年にまるで親近感を抱けない。トビーの死が軽すぎる。「アトム」と名乗るその由来が適当極まりない。天馬博士の葛藤が上滑りしていて全然伝わってこない。悪役たる大統領はいかにも小物で、打ち負かす爽快感がまるでない。

――天馬博士とお茶の水博士は横文字(ジムとかボブとかそんな感じ。正確な呼び名は失念)で親しげに呼び合うが、君ら香港人か

――カタカナを裏焼きした文字の描かれたポスターや、裏焼きではなく普通に中国語で“開けっ放しに注意”と書かれたダンボール箱などが画面のそこかしこに出てくるので、英語圏得意の『オネガーチョマス現象』かと思っていたら、スタッフロールが9割方中国人名だったので合点がいった。

――強大なエネルギー源を人間が素手で持てたり、そのアメリカンクラッカーの玉みたいなエネルギー源が、エネルギー供給だけでなく物理的損傷も一瞬で直すというのは冬樹くんの大好きなオカルト

でも、そんなこんなはすべてどうでもいい。とにかく残念なのは登場人物と脚本のペラペラさなのだ。

アニメは3D風だが内容は2D

主役(アトムと天馬博士)の吹替が、プロの声優だったらもう少しちゃんと観られただろうか。いや、そうでもないだろう。プロであっても、もともとない厚みを出すのは難しい。

ちなみに、天馬をアテる役所広司の出来は、上戸アトムを遥かに下回っていた。この映画吹替に限らないが、百戦錬磨の内海賢二(大統領)や山寺宏一(天馬家の執事ロボット)と同じ土俵で、声優じゃない人に主役級の声をアテさせるのは一種のいじめではないだろうか。

いやいや待て待て。公開前にタダで観させていただいてこの書き散らかしっぷりは人としていかがなものか。ここはウソでも誉めてまとめたいところではないのか。

しかし、どこをどう誉めれば……うーん、古いカートゥーン風スラップスティックギャグへのオマージュが散見されて、なんとなく懐かしい気持ちがしないでもない……ことくらい……か……あー、いや、ホント誉めるとこないです、ごめんなさいテレビ東京 CINEMA STREETさん。

個人的に一番興味を抱いたのは、早々から並んで前から5列目の真ん中というベストポジションを得ておきながら、開演10分ほど前に席を立って外へ出て行き、なんとこのタイミングでご帰宅かと思ったら開演数分前に戻ってきて数列後ろの右のほうに席を移し、さらに開演ぎりぎりになってそこからもっと端に席を移動していた、小奇麗な身なりをしたおばちゃんふたり組の落ち着きのない行動だった。彼女たちは何者で、何をしたかったのだろう。

教えて! お茶の水博士!(この映画では存在感希薄)

|

« 過去から来た新任務 | トップページ | 焼きなこもち »

コメント

もう最初から期待も何にもしてないんでATOMどうでもいいです(笑)
最近の吹き替えはつまらん。
どう考えてもただの話題づくり。
出来を見た手塚サイドが「これではいかん」と話題づくりに走ったのか・・・
「声優業」は「声優のプロ」にまかせとけばいい。
上戸はアイスでもすくっとけ。

投稿: ぶいち | 2009.10.08 19:54

つGOZZILLA

投稿: すーぱ(ry | 2009.10.08 21:05

>>アニメ映画として初めてのゴールデンラズベリー賞を授かっていいのではないか。

ここはすでに一昨年、新版「ミュータント・ニンジャ・タートルズ」を大コケさせた実績が・・・。
来年には、やはりこのプロダクションが「ガッチャマン」も公開するんですよね。かなり寒い出来でしょう。

いま調べたら「鉄人28号」の劇場映画化権も持っている! なんで、こんなところにみんな売るんだろう?

投稿: 尾之上 | 2009.10.08 21:27

>ぶいちさん

>>最近の吹き替えはつまらん。
>>どう考えてもただの話題づくり。
>>出来を見た手塚サイドが「これではいかん」と話題づくりに走ったのか・・・

話題先行ですよね。
原語でもニコラス・ケイジが天馬博士をアテてます。そんな変なところを真似しなくていいのに。

>>「声優業」は「声優のプロ」にまかせとけばいい。
>>上戸はアイスでもすくっとけ。

こんなにも違うもんなんだなあ、と声優としての力量の差にびっくりさせられます。


>すーぱ(ryさん

>>つGOZZILLA

終了後のお手洗いで、まさにそれを引き合いに出して「がっかり感」を語っていたふたり組がいらっしゃいました。

似ても似つかないトカゲにされてしまったGOZZILLAさんと比べ、アトムからコバルトにモーフィングする途中みたいなATOMさんのほうがちょっとだけ見た目がマシなのは、さすがに手塚プロが横やりを入れて修正してもらったからのようですね……。


>尾之上さん

>>ここはすでに一昨年、新版「ミュータント・ニンジャ・タートルズ」を大コケさせた実績が・・・。

なんと! その新版が上映されていたことさえ気付きませんでした。既にやってしまっていたのですね。

「ガッチャマン」の権利も持っているという噂は聞いたことがあります。
来年“後悔”ですなあ(……早くも寒い)。

>>いま調べたら「鉄人28号」の劇場映画化権も持っている! なんで、こんなところにみんな売るんだろう?

鉄人もですか。営業力が高いのでしょうか。あるいは金払いがいいのでしょうか。

投稿: ANCHOR | 2009.10.08 22:25

>艦長さま
 すでに、このレベルまで悲劇は進んでおりますよ。
http://www.aceshowbiz.com/news/view/00025531.html

投稿: 尾之上 | 2009.10.09 08:49

NHKだったと思うんだけど、手塚プロがダメ出ししたのをみた。修正前のはもっと『こいつ誰?』だったw。

投稿: すーぱ(ry | 2009.10.09 18:43

>尾之上さん

>> すでに、このレベルまで悲劇は進んでおりますよ。

うわー。
イラストのほうは、もともとバタ臭いキャラたちが一層バタ臭く。
動画のほうは、NTT東日本のコマーシャルを彷彿とさせますなあ。

ガッチャマンは既にアメコミで展開されていましたから、やや免疫ができている(笑)気がします。
ストーリーさえ練っていただければ、絵柄の改変と声は多少我慢できるかも(でも多少なのか)。
頼むぞケヴィン・モンロー。


>すーぱ(ryさん

>>NHKだったと思うんだけど、手塚プロがダメ出ししたのをみた。修正前のはもっと『こいつ誰?』だったw。

その映像や画像を探しましたが、さすがにないですなあ。
ずいぶんご年配のアトムさんだったようで。DVD特典に初期設定画が付いたりして。いえ、だからといってDVDは要りませんが。

投稿: ANCHOR | 2009.10.10 00:21

>尾之上さん

うっはーw
いつからB'zの稲葉はガッチャマンになったんだ(笑)
もともとアメコミ調なんだからそのままでいいじゃん・・・

投稿: ぶいち | 2009.10.10 08:24

>ぶいちさま
 どうも、はじめまして!

>>いつからB'zの稲葉はガッチャマンになったんだ(笑)
 おっと、たしかに似ていますね~(座布団1枚)。しかし、艦長もおっしゃっているように、この濃厚なキャラたちを見ただけで、胸やけが・・・(笑)。

投稿: 尾之上 | 2009.10.10 10:27

☓「アトムだ」(日本版)
○「あ、トムだ」(米国版)


ごめんなさい、もうしませんw

投稿: すーぱ(ry | 2009.10.11 19:20

>すーぱ(ryさん

トム(笑)。確かに見た目そんな感じ。

すると横文字では「a Tom」なのでしょうか。冠詞なんか付けられちゃって、いかにもロボットがモノ扱いされている風。

投稿: ANCHOR | 2009.10.12 16:13

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/6416/46420261

この記事へのトラックバック一覧です: 原子炉も核融合炉も持たない“ATOM”:

» アニメーション 学校 [アニメーション 学校]
アニメーション 学校 [続きを読む]

受信: 2009.10.11 17:24

» 技術家庭科 アニメーション [技術家庭科 アニメーション]
技術家庭科 アニメーション [続きを読む]

受信: 2009.10.11 18:06

« 過去から来た新任務 | トップページ | 焼きなこもち »