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2004.05.26

第7話「綺亞羅」

テレビ東京の「ウルトラQ dark fantasy」。今回はシリーズ構成が上原正三、脚本は小中千昭、監督は金子修介。

はじめに断っておく。ジャズのことはなにひとつ、わからん。

地下と思しきジャズバーで、これはなんだろう、コントラバスだろうか、おそらく今回の主人公と思われる男がピアノとドラムを従え、大きめの弦楽器で静かな曲を奏でている。なんという曲なのかは知らない。

店のカウンターの前に、この場所には似つかわしくない女の子が立っている。黒く長い髪の前髪を切り揃え、白いドレスには同じく白いベールのようなものを重ねている。視線の先には、多分主人公のチョビ髭。

演奏が終わると客席からまばらな拍手。そのときチョビ髭は初めて女の子に気がつく。

店の人が自分を紹介しているのに、まったくに耳に入らない様子で女の子を凝視するチョビ髭。彼は坂口という名で、今日この店には急遽ゲストとして呼ばれたらしい。演目はすべてバスター・カークランドという人物の曲だそうだ。その人物が実在するのかしないのかも知らん。

紹介が終わっても女の子に気を取られている坂口に、しょーがねぇな、という表情で声をかけるピアノ男。ピアノ男に視線を移した一瞬に、女の子の姿はなくなっていた。気になりつつも、2曲めの演奏に入る坂口。

SONYのポータブルMDプレーヤーで、さっきの店で録音した自分の演奏を聴きながら車を走らせる坂口。演奏に入るきっかけが遅れていると舌打ち。

ジャズバーで演奏が終わったあと、「また呼んでくれよ」とピアノ男に声をかけたが、ピアノ男の反応が芳しくなかったのは、坂口の演奏がへたれだったからだ。

自分のしょぼさを棚に上げてすっかり気分を悪くした坂口は、乱暴にMDの電源を切る。

と、ヘッドライトに照らされた車道に、白い人影がまろび出てきた。さっきの女の子だ。しっかりした表情で坂口を見据えている。

慌ててハンドルを右に切り、車を停める坂口。横になって停車している車が、センターラインの上にあるのもおかしな話だが、車より軽く5メートル以上先に女の子が倒れているのもまったく理に叶わない。どうなってんだ。

大丈夫かと声をかける坂口。「ぶつかってないよな?」 そうだな。わたいもそう思う。勝手に倒れているのだ。貧血か? 持病のシャクか?

まったく起きる気配のない女の子を抱き上げると、さっきのきりっとした表情からは想像もつかないもうダメな様子。蚊の鳴くような声で「連れてって……」と囁く。張り手を喰らったような表情の坂口。そのひと言だけ言って気絶した風を装う女の子。明らかに演技だ。何者?

女の子の上半身を支える坂口の手に痛みが走った。思わず手のひらを見ると、鱗粉のようなきらきらした粉が付いている。ますます何者なんだ。虫の一種か?

ここでオープニングテーマ。佐野史郎はなにも語らない。

気絶したままの女の子を自室に連れ帰る坂口。病院に行かず、自室に戻るあたりが下心満点のチョビ髭だ。

ソファに横たえ、自分のベッドから毛布を持ってくると、既に女の子の姿はなかった。狐につままれたような顔の坂口。洋酒を取り出して眺めるが、口は付けずに元の場所に戻す。

ふと床を見ると、金粉入りの青いジェルのような液体が目に入った。それが女の子とどのような関係があるのか、説明のないまま、とりあえず次のシーンへ進む。

監視カメラで見張られたどこぞの受付で、人待ち顔の坂口。そこにアナログレコードを手に現れたスーツ姿の男は、坂口とため口をきく程度に仲のよい知り合いらしい。

いいものを見つけたぞ」と得意気にスーツ男が見せるレコードに、坂口はビビッドに反応。

坂口「バスター・カークランド……こんなのあったっけ?」
スーツ男「にぶい奴だなあ。何番って書いてある」
坂口「1553番」
スーツ男「そう、栄光のブルーモード・レーベル。欠番の1553番だ」
坂口「あはっ……あり得ないだろ、これ」
スーツ男「ジャズ黄金時代を築いたブルーモードの、1500番代には、2枚の欠番がある。1553と1592。1592はクラークの未発表盤としてのちにリリースされた。だが、1553は、最初っから存在しなかったはずだったよな?」

ジャケットの右下には「BLUE MODE 1553」の文字。BLUE NOTEとは違うのか。それすらわからん。ジャケットに使われている写真や、得々としゃべるスーツ男に合わせてカットインするバスター・カークランドの古い映像は、多分、この作品のために撮影したんだろう

欠番の1553は、わずかなサンプル盤がプレスされたものの、マスターテープごと没になったのだが、スーツ男が勤める会社に所属するアーティストがニューヨークでレコーディングしたとき、倉庫で発見され、オークションにかけられそうなところを買い取ってきたのだと言う。

そんな裏話なぞ上の空で聞いている坂口はジャケットをためつすがめつ眺めながら「聞きてぇなあ。どうだった、バスターのプレイ」とスーツ男に詰め寄る。

プレイは今一だったとスーツ男は言った。

スーツ男「なんかぶつぶつぶつぶつしゃべってんの入ってたりしてさ。没になるのもわかるかな。あ、お前学生のときからバスター好きだったよな? 酒に溺れて、天使が憑いたとか言い回りぃの、終いには病院でのたれ死に。今度CD、焼いといてやるよ」

ちょっと嫌味なところもあるが、親切な奴だ、スーツ男。

アルバムを片づけるスーツ男の左手首には、「M.T」とイニシャルが入った皮バンドが巻かれている。一方坂口の左手首にも、同じ黒い革で「O.S」と入った革バンドが。学生時代からのジャズバンド仲間ということか。

仲間ついでに仕事の紹介を頼む坂口だが、田中から「お前な、会社辞めてまでベース弾いてるの、どうかと思うぜ」とたしなめられる。

坂口「俺は、ちゃんと食えてるよ」
田中「食えてないからこうやって頼んでんだろ」

それはそうだ。
田中「国民年金ちゃんと払ってんのか?」

それは余計なお世話だ。反論できない坂口。おい、払ってないのか。
田中「いいか。俺たち必死に生きてきたじゃないかよ。なあ。オサム! ちゃんとやろうぜ」

語りっぷりが、アンタッチャブルの山崎弘也そっくりだな。顔も似てる。
田中「……はぁ。俺たちもう若くないんだぜ。お前も俺も」

突然田中の後ろに白い女の子が近づき、右手で田中の左肩を掴むと、後ろに引き倒した。
受け身を取る間もなく後頭部を床に打ち付ける田中。さぞ痛かろう。それはともかく、机の近くに座っていたわりには、倒れる際に上がる足で机を蹴飛ばす様子なかったな。かなり足を広げてがに股で転倒したと見える。店にとってはありがたい気配りだ。

驚いて女の子に声をかける坂口に、「知り合いか」と尋ねる田中。女の子は挑戦的な眼で田中を下から睨んでいる。坂口が責められているのが気に入らないらしいが、なぜ坂口の肩を持つのかは不明だ。

田中「たいがいにしとけよ。お前こういうの、犯罪になるんだからな。仕事はなんとかするよ」

いい奴じゃないか、田中。この男は大事にしろよ、坂口。

なんでこんなことしたんだ」と坂口は女の子に尋ねるが、彼女は無言。

席に戻った田中は、「BUSTER KARKLAND」と印刷されたアルバムを無造作に机の後ろの台に置くと、会議に呼ばれて離席。

並んで外を歩きながら、学生時代の田中について女の子に語って聞かせる坂口。「あいつはあれでも、学生時代はスティーブ・ガットのコピーをやらせたら、日本一のドラマーだったんだ」 あれでもって、どういう意味だ。「あれでも俺のこと心配してくれてんだ」 わかってるじゃないか、坂口。すると、女の子が初めて長台詞をかました。

女の子「あの人があんたのこと、どんなにバカにしても、あんたは心配してくれてるって、ありがたがってんだ」

わかってないな、お前。
女の子「自分で鼻っ面殴ってやればいいんだ」

なに言ってんだ、お前、一生鱗粉振り撒いてろ。

ところがそう言われて、まんざらでもない表情の坂口。なんだ、お前も実はそう思ってるのか、そんなんやから社会生活営めんのや。坂口の深層心理を言い当てた鱗粉女はにっこりと得意顔だ。似た者同士でよかったな。

いないところでえらい言われようの田中が会議を終えて席に戻ると、アルバムを置いていた場所にアルバムはなく、代わりに金粉ジェルが垂れ落ちていた。見ているこっちはあのクソ女か、と思うが、田中にはわからない。そもそも、盗るなら証拠を残さずうまく盗れんのか、鱗粉。

コンビニに入り楽しげに買い物をする坂口と鱗粉。自分の財布も持ってなさそうなのに、商品をじゃんじゃんカゴに入れる鱗粉。その様子を、珍しいものでも見るような表情でぼーっと見ているコンビニ店員。

当然のように鱗粉を連れて部屋に戻った坂口は、鱗粉を座らせてコントラバスを演奏する。すっかりご機嫌だ。黒人バスター・カートランドのモノクロ映像がカットイン。

一方、アルバムを盗られた田中はビルの警備室に行って、監視カメラの映像を再生していた。カメラは鱗粉の姿を捉えていた。が、その姿は点滅しているかのようで、ところどころで消えている。不思議がる警備員。田中は鱗粉がからんでいることは間違いないと踏んだのだろう、警察を呼ぶよう警備員に指示する。

演奏を終えた坂口は、窓際のキッチンで食事の支度を始める。すると、部屋に音楽が響き渡った。振り返った坂口は、なにかのレコードをプレーヤーにかけた鱗粉がジャケットを手にしている姿を見る。そのレコードこそ、田中の席に金粉ジェルを残して消えた1553番だ。

坂口「どうしてこれがここにある」
鱗粉「あんたはこれが聞きたかったんでしょ。あんな奴なんかにこの音楽の美しさはわからない」

わからんかもしらんが、お前はただの泥棒だ。CDに焼いてくれるまで待てんのか。
坂口「なんで勝手になんか持ってきた。こんなことしていいわけないだろ」
鱗粉「意気地がないのね」

言い聞かせるつもりが罵倒されて、ぎょっとする坂口。
坂口「なんだと」
鱗粉「思いどおりに生きてるつもりで、結局他人の顔色ばかり気にして逃げ場所ばっかり探してるんだわ」

どうやら倫理観が人類とは異なる生命体らしい。

またも反論できない坂口は、つかつかとキッチンのそばに歩み寄ってなにをするかと思えば、先日鱗粉が目の前から消えたときには口を付けなかった洋酒の瓶を取り出すと、注ぎ口に何重にも巻いてあった赤いビニールテープをほどき、ラッパ飲み。アル中が酒を封印していたと見える。鱗粉に言われたことのどこが堪えたのか、飲まずにはいられなくなったようだ。なんだか妙に弱い男だな、坂口。じとっとした視線を坂口に送る鱗粉。あ、逆噴射してむせてる。もったいないことするなよ、坂口。飲むならちゃんと飲め。ああああ、挙げ句に瓶ごと床に落としやがった。半分以上残ってたぞ。なにやってんだか。

冒頭でもう呼んでもらえないような演奏ぶりを披露したバーにて、コントラバスを弾く坂口。いつの映像だ

警察を前に坂口の過去を語る田中。

田中「坂口は7年前、心臓で一回倒れたんだ。大切だったかもしれないけどあいつの場合は、酒が毒だったかなあ……。手術のあと、あいつは会社を辞めて、好きな道で生きていくとかなんとか言ってねぇ……」

時を同じくして、監視カメラの映像をチェックしていた警備員は、不思議なものを見る。鱗粉が歩き去る背後を、白いぼろぼろの布きれを頭からすっぽり被ったような人影が5体、ふらふら歩きながらついていっているのだ。どれも半透明で、そこに実在していたのかどうかさえ定かではない。そのなかのかぶりものをしていない1体が立ち止まってカメラ目線を送る。そして一気にズームアップ。というか、自らカメラに向かって近寄ってきた感じ。大写しになったハゲの男は人間の顔をしているが、あんまり気持ちのいい表情ではない。にやっと笑うハゲ男。


坂口「バスター・カークランドは奇矯な行動のほうが有名だけど、俺はなにより、彼の弾くベースの音が好きだった」

モノクロ映像のなかでグラスを持ったカークランドがコントラバスを離れ、坂口の座るテーブルに就いた。乾杯して酒を飲み交わすふたり。それは一気飲みで酔い潰れた坂口の見ている夢だ。床に倒れて眠る坂口を介抱するでもなく、ただ眺めている鱗粉。外は明るくなってきているようだ。

鱗粉はドレスの上に羽織っていた半透明のベールを脱ぎ、ドレスの背中のファスナーを下ろした。両手を胸の前で交差させると、背中から銀色の突起が音を立てて突き出した。それは蓋だったのか、今度はその下から蝶のように葉脈のある羽根が広がった。羽根の先には左右それぞれ5つずつ赤く光る球が付いている。落ちる寸前の線香花火か、アンコウの提灯のようだ。

ゆっくりと羽ばたきながら坂口の横にひざまづいた鱗粉の羽根が、坂口を包み込む。

意識を失ったままの坂口は悟ったような口調で言う。

坂口「そうか。お前はバスターのところに現れたっていう、天使なんだ。はっ、俺みたいな三流のところに来るなんて、ちょっと間抜けじゃないのか?」

ベッドの上で仰向けになって眼を覚ました坂口は、右横に靴を脱いだ鱗粉が、自分の胸に頭をもたれかけさせて添い寝しているのを発見。視線を交わし、また眠ろうとしたところに、扉を叩く音とともに坂口を呼ぶ男の声。港署の者だと言う。

扉を開けた坂口を、15分前から標準速で回っていたビデオカメラが正面から捉える。カメラを構えたまま踏み込んできた警察の人間は、部屋中にカメラを振ってなにかを探しているらしい。ベッドに腰かけたまま靴を履いている鱗粉を見つけ、「いました!」と報告。

署まで同行をという刑事に、「なんで?」と素で答える坂口。盗難と未成年者の諸々な届けが出ているそうだ。諸々な届けって、はっきり言え。

同行に同意した坂口は、鱗粉に「じゃあな」と声をかけビルを出る。おや、鱗粉は連れて行かないのか、刑事さん。

部屋に残って撮影を続けていたビデオ係が、鱗粉にカメラを向けながら「キミも一緒に来なさい」と話しかけた途端、鱗粉の背後に白い異形の者たちが一斉にぶわっと現れる。だからなんなの、この連中

パトカーに乗り込もうとする坂口らの背後に、ビデオ係の汚らしい悲鳴が響いた。様子を見に行った刑事と警官も、悲鳴を上げてその場に尻餅をつくほどの大変な騒ぎ。

腰の抜けた刑事らを尻目に、階段を下りて外に出る鱗粉。駆け寄って「なにをしたんだ」と尋ねる坂口に「なにもしてない」と鱗粉は答えた。なにもしてないだろうが、なにかを見せたのは確かだ。

一度は警察へ行くつもりだった坂口だったが、状況の変化で気も変わり、鱗粉を連れてその場を逃げ出した。もう後戻りできないぞ。

「横浜54 や52-33」のトヨタ車で走り出す坂口。

1553番のメロディが流れるなか、坂口と鱗粉は言葉を交わす。

鱗粉「どこに行くの?」
坂口「どこに行くか、考える時間はたっぷりあるからな」
鱗粉「随分窮屈になっちゃったんだねぇ、ここも」

国道17号線、大豆戸まで13分の地点で、交通違反監視カメラにナンバープレートと運転席、助手席を写される。

いつ取り戻したのか、バスター・カークランドの欠番アルバムを手にする田中。

サイドボードに置かれた坂口の左手を、握ろうかどうしようか、迷う鱗粉。

鱗粉「どうしてなにも聞かないの?」
坂口「え?」
鱗粉「わたしが誰かとか、どこから来たかとか」
坂口「そうだなぁ。なんで聞かなかったんだろ」

聞かなかった、と答えた坂口の台詞からはこの先も聞くつもりがないということがわかる。鱗粉もそう察したのか、自ら名乗った。
鱗粉「わたしは、綺亞羅」
坂口「……そっか」

やはりそれ以上聞く気はないらしい。綺亞羅もとりあえず名前を告げたことで満足したらしく、黙っている。

仕事場のデスクで直立して電話を取り、なにやら驚いている田中。

田中「えっ。坂口が。ベースと一緒に。はい。わかりました」

なにがわかったのかわからないが、椅子に倒れ込んで天を仰ぐ田中。ふと1553番に目をやり、身体を起こすと、手にとってなにかを思案する様子。さっき手にしてプレーヤーにかけていたはずだが、時間と空間が連続していないのか、この編集は。

どこかの公園らしい場所でコントラバスをつま弾く坂口。それ、いつ持ち出したんだ

獄中で拘束衣を着せられたバスター・カークランドのモノクロ映像。牢屋の隅に綺亞羅が立っている。

坂口「天使が見えていたバスター・カークランドは、ほんとに不遇なジャズメンだったのだろうか」

1533番をかけながら、窓を背に立ち、逆光でむせび泣く田中。左腕に巻いた革バンドを撫でさする。綺亞羅がなんと言おうが、田中は坂口のことを心配してるぞ。

どこぞの誰かに通報されたらしく、楽器を奏でる坂口のほうへ警察が向かってきた。いち早く気づいた綺亞羅に促され、でかい楽器を抱えて逃げる坂口。

床にしゃがみこんで号泣する田中。なにをそんなに泣いている。さっきの電話でなにを聞いた。

逃げる途中で立ち止まって手を差し伸べる綺亞羅に、不思議そうな顔を向けた坂口だが、結局楽器を置いてその手を握りしめる。

すると綺亞羅は羽根を広げて宙に浮き始めた。片手をつないでいる坂口も、物理法則を無視した形で、つないだ手が斜めになったままでまっすぐ上に浮き始める。

叫ぶ警察。

綺亞羅に手を引かれて空中散歩の坂口。

誰が手を下したのか、火にくべられて燃えるカートランドのアルバム。

石畳の地面に落ちて粉々になるコントラバス。コントラバスは置いて飛んだんじゃないのか。

下を覗き込む警察とタレコミ屋一同。

落ちてきたものに驚く学生風のカップル。

嬉しそうに走ってきて、笑顔で携帯電話のカメラを構える白いパーカーの男子学生風。

砕け散ったコントラバスの横には、夥しい血を流した坂口が倒れている。その目は開いたまま、ぼんやりと遠くを見ているようだ。

燃え尽きんとするジャケットとレコード盤。

音楽も終わった。

シーンが前後しているが、田中は電話で坂口がコントラバスと共に落下して死んだと聞かされたのだろうな。そういう編集なんだろう。効果のほどはわからんが。

夜の街を歩きながら坂口の思い出を語る田中。以前警察を呼んだときに坂口のことを話していた相手と同じ、髪を後ろでまとめた女性にだ。警察関係者じゃなかったのか、この人は。

田中「俺は、坂口の奴がうらやましかったのか、嫉妬してたんだよ」
女「そんなに自分を責めないでください」
田中「そう言われたくて、言ったんだよ」

紫色のディパックに白い小動物のマスコットをぶらさげた髪の長い女の子とぶつかりそうになりながらすれ違う田中。

もちろんその女の子は、綺亞羅と同じ顔をしているのがお約束だ。振り向いて田中の後ろ姿を見送る私服の綺亞羅。お前、田中になんかするつもりじゃないだろうな。それは逆ギレだ。


佐野N「ブルーモード、1500番代の欠番、ナンバー1553は、今も、そしてこれからもずっと、欠番となっているのです」

今回、佐野のナレーションはこれだけ。別に入れる必要もないナレーションだ。エピソードに一回はしゃべらさないといけない契約なのか。無理して意味もないことを言わせてどうする。

今回はとうとう狂言回しのゴウちゃん、エンクミが出てこなかった。別に出てこなくても「ウルトラQ dark fantasy」は成立するということだ。

成立はしたが、エピソードとしていい出来かどうかはまた別問題だ。どんな人生でどんな死に様でも、本人がよければそれでいいという終わり方だが、それではオナニーに過ぎない。24分にも亘ってアル中ロリコンの脳内妄想を電波に乗せ、なにを伝えたいのかさっぱりわからん。ロリコン向けには可愛い女の子が一緒にいてくれたらウハウハでOKなんだろうか。付き合えないのでそっちでやってくれ。綺亞羅の背後に潜むハゲ男らが何者なのか、綺亞羅が金粉ジェルを排出するのはどんなとき、どんな理由によるものなのか、ストーリーの要で複数回使ったわりには直接的間接的に説明するシーンがついになかった。なんだありゃ。脚本家も演出家もオナニーだ。勘弁して。
最後に、悪者扱いされた田中の名誉回復を訴えたい。唯一、田中だけがまともだった。

冒頭でジャズは知らん宣言をしたけれど、ジャズの知識は不要だった。むしろ『ダーククリスタル』がちょっとパクってないか? よく言えばオマージュか。まあ、それなら『ダーククリスタル』を見たほうがマシなので以下割愛。

次回は「ウニトローダの恩返し」。異星人と怪獣が登場する、重たい作りではなさそうなエピソード。狂言回しも戻ってくるようだ。

※この稿は、2004.9.21に書き起こし、エントリーしたものです。

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コメント

で、あなたの長ったらしいのオナニー感想文はストーリーの俯瞰トレースと些末な疑問の取り上げだけか。
細かなディテールが気になって本筋や世界観を楽しめない、面白ければ他人のオナニーも楽しいってのが分からない残念な人っていう自己紹介ですよね?

投稿: | 2011.03.15 00:25

ようこそいらっしゃいませ。

日本全国娯楽自粛ムードの時期にわざわざ検索のうえお越しくださって全文をお読みいただき、ついつい辛口のコメントを残したくなるくらいの強い印象を拙文から受けてくださいまして、どうもありがとうございます。

>>面白ければ他人のオナニーも楽しい

まさにおっしゃるとおり、“面白ければ”ですね。
「綺亞羅」は残念ながらおもしろくなかったのです。
「ウルトラQ dark fantasy」はのっけから支離滅裂だけどわりかしがんばってるんじゃないか、おもしろいんじゃないかと思って第1話からリアルタイムで続けてきた視聴とレビューを、この第7話のおかげですっかり興味を失ってこれを最後にぷっつり書かなくなってしまった(観るのさえやめてしまいました)くらい、わたしにとって「綺亞羅」は駄作でした。
あなたにとっての傑作でしたら単に意見が合わないということでご寛容ください。

またおいでくださる際はハンドルでもなんでも結構ですのでお名前を入れておいていただけるとお呼びしやすくて助かります。
docomoの携帯回線利用ではコメント時にお名前を入力する欄が表示されないとすれば、ご不便をおかけしてすみません。

投稿: ANCHOR | 2011.03.15 20:15

んー、確かに明らかに説明不足な回なんだけど、主さんの数多いツッコミにも的を射たものはあまり無いような。「それもそうだけど、そこじゃあないよね」という感じ。
つまらなかったなら長々感想を書く必要もなく無視すればいいはずですが、わざわざ感想を書くからにはマズイならマズイでどこがマズイのか言い当てていれば文句のつけようもなかった。
が、「面白くなかった。今後はみない」とだけ言えば済むところを、的を捉えきれていない枝葉末節へのイチャモンだけに終始&しかも長い…ということで↑の方のような書き込みになったと思われます。

投稿: 通りすがり | 2015.11.04 13:42

通りすがりさん、ようこそいらっしゃいませ。

>>つまらなかったなら長々感想を書く必要もなく無視すればいいはずですが、わざわざ感想を書くからにはマズイならマズイでどこがマズイのか言い当てていれば文句のつけようもなかった。

長文をお読みいただきながら、通りすがりさんの腑に落ちる結論を提示し得なかったのは当方の力不足で、大変申し訳ございません。

このエントリーは、『ウルトラQ dark fantasy』放映当時に第1話から順番に視聴しつつ、エピソード各個のストーリーを逐一追いながらついでにツッコむ、という当時マイブーム(死語)だった“ツッコミ式エピソードガイド”のスタイルで書いていた記事のひとつです。

ですので、ご指摘のように

>>が、「面白くなかった。今後はみない」とだけ言えば済むところを、的を捉えきれていない枝葉末節へのイチャモンだけに終始&しかも長い…

――となるのは、わたし自身の大いなる浅薄と能力不足を差し引いても、作品そのものの出来不出来に影響されるのは、前述の“スタイル”である以上お許しいただきたいところです。

ちなみに、この第7話があまりにくだらなかったため当作品に絶望し、そこでようやく、通りすがりさんがおっしゃるところの

>>つまらなかったなら長々感想を書く必要もなく無視すればいい

というステージに入りました。
故に、『ウルトラQ dark fantasy』の第8話以降は、録画はしたものの再生することはありませんでした。第1話から7話も、このあと今日ただいまに至るまで、ただの一度も観返しておらず、録画していたDVD-RAMは全話廃棄して既に手元にありません。今後も自らの意志で『ウルトラQ dark fantasy』を観ることはないと思います。

投稿: ANCHOR | 2016.01.09 18:41

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