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2004.05.06

第4話「パズルの女」

テレビ東京の「ウルトラQ dark fantasy」。今回はシリーズ構成が上原正三、脚本は広田光毅、監督に八木毅。

携帯電話で受け答えする自称坂本通称マド、携帯を持って外出するマド、携帯でしゃべりながら街角を走るエンクミ、誰だか知らないが怖がる若い男、そいつが「殺される」とつぶやくとエレベーターが火花を散らして落ちていくシーン、そして日のあたる団地の遠景……と短いカットが特になんのナレーションもなく続き、いきなりタイトルが挿入されてオープニングテーマが流れる。

団地に住んでいるのは、冒頭でなにかにびびっていた若い男。団地の建物外の共用部分に並ぶ郵便受けへ、自分宛の郵便物を取りに出てくる。口に歯ブラシらしきものをくわえているのと、まだ新聞が刺さっている郵便受けもあるところから、きっと朝だろう。どうでもいいがその場所はあまりにも吹きさらしだ。大事な郵便が配達される日に雨が降らないことを祈る。

郵便受けに入っていたものをすべて取り出して引き返そうとすると、投函されたなにかが郵便受けの底を叩いたかのような、乾いた音がした。郵便受けの表示から望月という名字らしい彼がもう一度蓋を開けると、そこには白い長三の封筒が入っていた。宛名面に住所はなく、“望月様”とだけ書かれている。裏に差出人の名はなく、ベロの部分にしゃれたエンボス加工が施され、赤いハートマークに天使の羽根のようなものが生えたシールで封緘してある。

部屋に戻った望月。笛吹ケトルで湯を沸かしている。わたいも同じようなヤカンを使っているが、望月のそれはやけにきれいだ。ヤカンの隣のコンロで油ものを料理したことがないらしい。ぴかぴかだ。部屋全体が映り込んでいるので、よく観ると左側のほうに黄色っぽい服や白い服を着た撮影者たちが映っているが、それは言わない約束だ。

白い封筒には、ジグソーパズルのピースが入っていた。机の上に出してみる望月。沸かした湯でマグカップに粉末ポタージュスープを溶かすと、机に向かってピースを組み始める。そんな余裕があるところを見ると、今日の仕事は休みなのだろう。

封筒に入っていたピースをすべて組んでみても完成しないパズル。できあがったのは白い服と白い靴の女性かあるいは女性を目指してホルモン注射を打ったり手術に挑んだり日々鍛錬を続ける男性かいずれかの左足部分のみ。「なんだよ、これ」と不満気な望月。

あさひなんとかかんとか(判別できず)という病院から出てくるスーツ姿の望月。なんだ、仕事だったのか。余裕を持って起床するとはよい心がけの男だ。契約を済ませたと電話で報告しているので、製薬会社のMRではなく卸のMSか、医療機器メーカーの営業、あるいは給食会社、はたまた売店に品物を入れている業者、自販機のベンダー、ユニマットとかなんかそういう商売と推測してみたが、この物語にはなんら関係ない。

病院の前ですっころげてリンゴやミカンを歩道や車道にぶちまける老女。思わず大丈夫ですかと声をかけて駆け寄り、果物を拾い集める望月。好青年。車道に転がっていったリンゴふたつを取りに行った望月は、向かい側の歩道に停めてある赤いオフロードバイクのエンジンの下に、白いハイヒールを履いた左足が覗いているのを見つける。身体は、ない。

驚く望月だが、その鼻先を右からクラクションを鳴らしながら突っ込んできた白いセダンが減速せずに通り過ぎ、これまた驚いて尻餅をつく。それでも右手に掴んでいたリンゴは離さない望月。

夜、帰宅ついでに郵便を回収する望月。部屋に戻って机の上に広げたままのパズルを見ると、昼間見たのと同じ左足であることに気付く。足首に巻かれた貴金属が、同じ足であることを強く主張している。

回収してきた郵便物のなかに、また白い封筒に入ったパズルがあった。熱心に取り組む望月の部屋に、コツコツとヒールの踵を響かせながら、近づく音がする。本日分までのピースでできあがったのは、腿から下の全部。「いたずら?」とつぶやく望月。

所変わってマドの勤めるGLOBAL MAGAZINE JAPAN。時間は夜。今日もマドとつるむエンクミが、用意しておけと朝頼んだ資料がなんで見あたらないんだよと、紙を巻き散らかしながら大荒れ。

マドの机は汚いらしい。編集者の机は常に汚いというのが固定されたイメージだ。いろんな紙が集まってくるので、そうなりがちなのには同情するが、結果として汚いのは個人の性癖で要するにだらしないのだ。

さて、コースター代わりにされていたMOに、エンクミの望む資料が収められていた。ノートPCの液晶モニタに表示して見せるマド。それはスキャンされた雑誌の記事のよう。

“タクシー運転手「死のドライブ」動機なき自殺”という記事。さらにエンクミは、コピーした記事を2点、マドに見せる。“高校教師 理由なき焼身自殺 校舎の裏で壮絶な死”、“白昼の悲劇 飛びり自殺にかりたてたものとは? なぜ? 人望ある介護士の飛び降り自殺の動機は?”誤植原文ママ

エンクミ「ゴウちゃんの記事も含めて全部、一年以内に起こった事件よ。3人とも、自殺の動機がわからないの」

動機のわからない自殺は珍しくないと思うが、それよりもマドはエンクミから初めてゴウちゃんと呼ばれたのが特筆すべき点だ。

エンクミはこれらの自殺になんらかの共通点があると見ているのか、ただ単なる野次馬根性なのか、「ミステリアスな匂いがしない?」と暗にマドに対して取材への協力を匂わせる。「お前、また首突っ込もうとしてるな!?」と警戒心たっぷりのマド。

エンクミ「ジャーナリストの端くれとして、放っておけますかってぇの」

カメラマンじゃなくてジャーナリストだったのか、エンクミ

夜、リラックスした格好で買い物に出ている望月。自販機でタバコを買い、コンビニかスーパーの袋を左手にぶら下げて団地に向かう。すると、後ろからコツコツと足音がついてきた。振り返っても誰もいない。しかし歩き出すとまた足音が聞こえる。

「はーーー、はーーーー、はーーー」

寒いのか口癖なのか、はーはー言いながらついてくる足音。白い靴を履いた半透明の足が歩いている映像は望月のイメージか、劇中の現実か。かつて見た左足だけの女(あるいは以下略)を思い出して、びびった望月はダッシュで帰宅。部屋の机には、腿から下が完成しているパズルがまだ置いてあり、それを見て「まさか」とまたびびる望月。
「はーーー、はーーーー、はーーー」

規則正しい足取りながら、着実に望月の部屋に向かってやってきたはーはー声&コツコツ足音。望月はびびりながらも、玄関のドア越しに大声で威嚇すると、ドアを素早く開けて外に飛び出し、周りを見渡す。もちろん、誰もいない。はーはー声も消えた。

時と場所を変えて、どこかのビルでエレベーターを待つ望月。そこに登場したはーはー声&コツコツ足音は、じわじわと望月に迫る。

異常を察した望月が、ちょうどやってきたエレベーターに転がり込むと、ドアが閉まる寸前に、白い靴の左足先が差し込まれ、ドアが閉じるのを阻止。びびりまくった望月は、足の持ち主は誰なのかと視線を上に上げることなく、ひたすら足先のみを見て「やめろ! 来るな! 消えてくれぇ!」と恐がり倒す。エレベーター内を転がり回っているときに、ドアに正対する壁を背にしていたが、その位置からなら、隙間の向こうの姿が全面的に見えただろう。なぜ視線を上げないのか、望月。

すると、突然警報音が鳴り響き、7階にいたらしいエレベーターは滑落を始めた。そのまま底まで落ちるのかと思ったら途中で停まり、しかもきちんとどこかの階に高さを合わせて停まったらしく、普通にドアが開いた。普通じゃないのは、ドアの向こうに、足を揃えたはーはーちゃんが立っていたことだけだ。完全に扉が開いているので全身が見えていると思われるが、またも望月は足先だけを見て消えろ! 消えろ!」と大騒ぎだ。

床にうずくまり、はーはーちゃんが消えるのを待つ望月に、どうした望月、大丈夫かと声をかける男がいた。マドだ。なぜマドがそこにいる。どこだそこは。そもそも知り合いか、きみら。

どこぞのオープンテラスでお茶する望月とマド。これまでの経験をかいつまんでマドに話したらしい望月は、パズルで作った女がつきまとってる?と聞き返すマドに、「あり得るのかな、そういうこと」と尋ねてみるが、マドは一言のもとにあり得ないと否定。田舎の母親が見合い写真をパズルにして送ってきたりしてんじゃないのかと笑顔で推測を述べるマドに、望月はまじめに聞いてくれとぶち切れる。

マドに対して語るところによれば、望月には女の姿が見えていないらしい。しかしさっきエレベーターでは見ていたではないか。よくわからない。

自室に戻り、今日もまた届いていた封筒からピースを取り出して組んでいく望月。これまで組んだところまでの姿が画面にも出てきているわけだが、望月はその点をあまり気にしていないらしい。今夜は両手を含め、肩までができあがった。残るは首から上だけだ。

一方、どこからともなくタクシー運転手、高校教師、介護士の自殺現場写真を手に入れてきたエンクミは、得意満面な様子でマドの机の上に並べて見せる。自殺ではなく、殺人の線はないか、と根拠もなく言ってみるエンクミ。相手にしないマドだが、興味津々で眺めていた写真のうちの1枚に、ジグソーパズルのピースが写っていることに気付く。

早速夕暮れのタクシー会社に聞き込みに行くマドに、「そういやガラにもなく作ってたなあ」とあっさり答える同僚。よくそんなこと知ってたな。ほかの2人についても聞き込んだマドは、3人とも死ぬ前にパズルを作っていたことを突き止め、望月に電話をかけてそう伝える。関連性は不明ながら、パズルを作るのは止めておいたほうがいいかも、と望月にアドバイスするマド。しかし望月の手には、今日もきっちり届いているピース入り封筒があった。

すっかりいやになって頭を抱え、へたり込む望月。と、そこへやって来たのはおなじみのはーはーちゃん。気配を感じてキッチンのほうを振り仰いだ望月の目に、見えていないと言っていたはずのはーはーちゃんがばっちりと姿を見せて立っていた。なんか、わたいの部屋の見た目ととてもよく似てるのがヤな感じだが、それは置くとして、他人様の部屋に上がるんだから、靴くらい脱げ、はーはーちゃん。しかしはーはーちゃんは聞く耳を持たない。首がないからだ。

腰を抜かす望月。そのざまがおかしかったのか、含み笑いを漏らしたはーはーちゃんは、両手を望月のほうへ差し出すとゆっくりと近づき、望月の首を掴むと絞め上げた。なぜだ。その行為になんの意味がある。

夢だった。……なんだ夢オチか。

日を改めて、パズルの現物を見せてもらおうと自殺者の家を訪れているマド。だが、息子はパズルを途中で作るのを止め、燃やしてしまったのだと説明する自殺者の母親。それが3軒目だったらしく、家を出るなり携帯電話で誰かに連絡を取ろうとするマド。彼の取材によれば、3人ともパズルを作るのを止めた途端に死んだとのことだ。ちなみにマドが電話をかけた先が誰なのかはわからずじまい。

夜、ぼんやりと道を歩く望月。やや車道にはみ出していたのか、またもクラクションを鳴らすだけで避けようとしない白いセダンに轢かれそうになる。走り去るセダンのテールランプをにらみつけ、気を取り直して歩き出す望月。ここで背後からはーはーちゃん登場。足音に気付いて後ろを見る望月だが、誰もおらず、車が1台やってくるのが見えただけだ。安心して歩き出した望月の目に、その車のヘッドライトが照らす影が入ってきた。自分ともうひとり、ふたり分だ。そして後ろの人影には、首がない。

茫然自失の望月。ケタケタと笑い声をあげながら近づいてくるはーはーちゃん。後ろから望月の首に両手を回し、抱きついてきた。はーはーちゃん、割と背が高い。望月と同じくらいあるだろう。それどころではない望月は絶叫すると、両手をはねのけて自室まで猛然とダッシュ。

部屋に駆け込むと、机の上のパズルに向かい、「殺される……なぜオレなんだぁ。なんでオレにつきまとうんだよ!」と叫ぶと、いつ届いたのかしらないがパズルの横にあったピース入りの封筒を、中身がそこらへんに散らばるのもかまわず破り捨てる。さらに狂乱した望月は完成間近のパズルを机から払い落とし、それでも飽きたらずに壁にかかっていたスーツを床に叩きつけ、部屋の中の品々を払い落とすは倒すは壊すはの大暴れ。その様子を、窓の外から見つめるはーはーちゃん。見つめると言っても、そんな感じがするだけで、実際には頭がないからよそ見されていたところでこっちにはわからない。

ひとしきり暴れた望月だが、ラックに収まったデスクトップパソコンなど、倒して壊すと困るものには手を出していないあたり、頭のどこかは冷静だったと見える。その望月、窓のほうを見て、なにかに気付く。レースのカーテンを開けてみると、窓に残る“ごめんなさい”の文字。一見、息を吹きかけて窓を曇らせ、そこに指で書いた風。これにより少なくとも、はーはーちゃんは外気よりも高い温度の気体をどこからともなく噴射できるということがわかった。

私服で昼間の公園のベンチに座り込む望月。ふと見ると、幼い娘が父親の背中から首に腕を回し、甘えている姿があった。それを見て、はーはーちゃんが以前後ろから抱きついてきたのは、甘えてそうしたのではないかと想像する望月。かつてエレベーターの扉が閉じないよう足を差し込んできたのも、その後にエレベーターが滑落するという事態を察知して、警告してくれたのではないかと、善意の妄想はふくらむ。

その夜もまたタバコを買い、自室に向かう望月。当然のように後ろからついてくるはーはーちゃん。一瞬びびる望月だが、今晩はひと味違う。積極的に打って出たのだ。相手の素性を知ろうと誰何し、さらにこう続けた。

「あのパズルを作って、そのあとボクをどうするつもりなの。殺したいの?」

そして身体は前を向いたまま、左手を後ろに差し伸べる。いつものリズムで近づいてきたはーはーちゃんは右手を伸ばし、望月の手を取ろうとするが、結局は握らずに後ずさり、立ち去った。思い切って振り向く望月だが、誰の姿も見えず、ただ遠ざかる足音だけが聞こえていた。

独自の調べを進めていたらしいエンクミは、自殺者3名をつなぐ共通点をマドに知らせた。それは「栄恵大学病院」。いつぞやのオープンテラスで再びお茶をしながら、マドは望月に情報を伝える。望月はその病院の担当ではないが、以前同僚の代理で一度だけ訪れたことがあるという。「そのとき、なにかトラブルがあったんじゃないのか?」と問うマドに答えて望月曰く、

「作ってあげたいんだ、あのパズル」
「なに言ってんだ」

マドじゃなくても「なに言ってんだ」だ。
「彼女、寂しくて、ただ、誰かが作ってくれるのを、待ってる。寂しそうなんだ、とても。空の下で、ひとりで待ってるみたいで」
「空?」

もう望月はマドとも目を合わさず、青い空を見上げたり机を見たりで、すっかり自分の世界に入り込んでしまっている。大丈夫か、望月。

栄恵大学病院のロビーで待ち合わせるエンクミとマド。エンクミの案内で院内の売店へ。売店の棚には青い空に緑の山々という絵柄のパズルが置いてある。売店のおばちゃんが問わず語りに話すには、それが最後の一個で、これまでしょっちゅう買ってくれたお得意さんの患者はもう亡くなったんだとか。その患者は二十歳前のきれいな娘だったと言う。そうか、では、「はーはーちゃん=女性を目指す男性」説は撤回しよう。女性看護士の証言によれば、小さい頃から入院暮らしで、両親とは早くに死に別れたそうだ。どうやって入院費を支払っていたのかはわからない。

女性看護士の手元には、患者が遺した数通の手紙があった。葬式のあと、病室の引き出しの奥から出てきたらしい。患者が死亡したあとも看護士あるいは病院が持っているらしい。遺族には返さないのか。誰が葬式出したんだ。その後の発言内容からすると、手紙の中身もきっちり読んでいるようだ。

封筒の宛名面には「未来の私へ」と書かれている。結構きれいな字だ。封筒は、パズルが入っているものと同じ。ただしハートに羽根の封緘シールは貼られていない。

手紙を渡されたエンクミは、音読。音読しなくてもいいだろう。でも、視聴者にとってはありがたい。

未来の私へ
 これを読んでいる私は、きっと死にたくなるくらい嫌な事があったんだよね。
 でも挫けないで。
 ほら思い出して、売店で本をとってくれた介護士さん
 本のお話が大好きで、いつもそっと笑いかけてくれた。
 私を見つけてくれた最初の人だよ。
 だから未来の私、頑張れ。

介護士? と顔を見合わせるエンクミとマド。しかしマドは手紙の扱いを全面的にエンクミに任せており、手紙を手に取ろうとも、顔を寄せて手紙を覗こうともしない。
 私、また素敵な人に見つけてもらったよ。
 タクシーの運転手さんで、ハイキングに行った話をしてくれたの。
 空がとってもきれいで、今度、元気になったら、ぼくが運転手になって連れて行ってくれるって。

マドは早速望月に電話。すると電話の向こうの望月は、最後のパズルが来たことをマドに告げて電話を切る。

完成直前のパズル。最後のピースは顔の真ん中。望月は敢えてそれを楽しみに残していたと見える。しかしその机、最初の足を作っていたときとても全部完成したら置けないような机だったように見えたが大丈夫なのか。その前に、あれだけ暴れて散らかしたピース、全部見つけたのか。すごいな。

入院中、かまってくれた成人男性に癒されたのだろうと推測を述べるマド。病院から手紙をパクってきたらしいエンクミは、3通目を音読。音読が好きな人だ。

 また、この手紙を読んでるんだね。でも思い出して。パズルのピースを、拾ってくれた男の人。高校の先生なんだって。
 晴れた空の下でやる運動会で食べるお弁当は、格別に美味しいって。

マドは、この女性は死んだあともう一度自分を見つけて欲しくて、好きだったパズルに身を変えて男たちの元へ行ったのだろうと、さらに推測を述べる。しかしみんな恐怖に負けて、パズル作りを途中で止めてしまったのだろうとエンクミ。
マド「彼女は、そんな仕打ちをした男たちを、殺してしまったんだ」
エンクミ「違うよ、彼女が殺すわけないじゃない!」
マド「じゃ、3人の死はどう説明する?」
エンクミ「事故よ。ただの不運な事故

えーー!? そうなん? ちょっと呆れた表情のマド。
エンクミ「望月さんだけが作り続けた。ただひとり、その恐怖の向こうにある彼女の寂しさに気付いてくれたんだよっ!」

ほな、最初からもっとフレンドリーな近づき方しといたらええねん。前から、堂々と、姿見せて。なんでまた必ず背後からはぁーはぁー息つきながら、忍び寄るねん。恐がらせる意図以外になにがあるちうねん。

だいたいこのはーはーちゃん、声かけてくれた男やったら誰でもええんやん。嫌な目ぇに遭うた奴んとこ行って脅かさんと、むしろ親切にしてもろた人から順番に破滅させていくあたり、なんとも迷惑ですな、はーはーちゃん。

マド「だから……だからと言って死んでいいはずないだろっ!」

ハンドルを叩いて憤るマド。わたいはマドに一票。しかしそれには動じないエンクミはさらに音読を続ける。
 Hello. 未来の私

ハローかい。
 今日、なんかとっても寂しくなって、ぼんやり空を眺めていたら、望月さんっていう人が、声をかけてくれたの。

エンクミの音読に、はーはーちゃん自らの音読が被る。望月は窓を開けましょうか、きっと気持ちいいですよ、とはーはーちゃんに近づく。窓を開けると一陣の風が吹き抜けた。
望月「あー、今日は随分と空が青いね。いつかあの空を、自由に飛べたらいいね」

 だから私、目をつぶって想像してみたの。
 望月さんが私の手を引いて、真っ青な空を、白い雲を、ぐんぐん進んで行くの。


「だから」ちゃうやろ。「だから望月さんが手を引いてくれる」わけやないやろ。えらいまた自分勝手な想像やなあ。まま、想像は勝手にしたらええけど、相手の都合も考えんとそれを実現させようちうのんはいかがなものか、はーはーちゃん。

自室で最後のピースをはめ込む望月。するとパズルの人物部分だけが明るく輝き始め、望月を下から照らす。完成した人物が誰なのかわかった望月は、にやにやと嬉しそう

パズルから発せられる黄色い光はますます明るくなる。

その者 青き衣を纏いて 金色の野に降り立つべし

王蟲の触手の如く下から差し出されるはーはーちゃんの両手。嬉しげにそれを取る望月は、光とともに消えた。

ちょうど最後の光が消えるところに、マドとエンクミが駆け込んでくる。鍵は開いていたのか。

机の上には、草原と青空だけのパズル。どうでもいいが、上下カツカツやな。机からこぼれそうやん。なんで机の長辺とパズルの長辺を合わせて作らへんねん。そんなぎりぎりの状態で無理からに載せいでも。

マドはパズルを見ただけですべてを察知したのか、「ばかやろう」と一言。エンクミは穏やかな表情で、「きれいなお空」。いや、それだけかい。えらい勢いではーはーちゃんに同情しているが、いったいなにがエンクミのハートを掴んだのか。

現実世界から消えたふたりは、パズルと同じ景色のなかを歩いていた。なんなんだそこは。キャプテンウルトラの最終回か。

だいたいなんで顔のほうからピース送らへんねん。最初はしゃーないとしても、3人も失敗してんで。そない失敗続けといて、気ぃ付かへんのんかいな、どないなってんねん、はーはーちゃん。そやから確信犯やろ、て言われんねん。

ほいでまた望月。自分、最後手ぇつないでもろてにったらにったらしてるけど、喜んでる場合ちゃうやろ。はーはーちゃん、別に自分やのうてもよかってんで! たまたま順番で回ってきただけやねんで、手ぇつないでもろてんのん! あほちゃうか、すっかりにやついてしもて。まあ、お似合いちうたらお似合いやけど。

佐野史郎「顔のない人物に惹かれた瞬間から、その人物はあなたを向こうの世界へ引き込もうと狙っているのかもしれません。くれぐれも、ご注意を」

こっちが顔のない人物に惹かれようが惹かれまいが、向こうが最初から引き込むつもりで来てるんやろ。そういう話やったやん、今日。

画面では、どこぞのアパートの102号室「上田」さんの郵便受けがアップで写り、なにかが投函された音がオーバーラップ。ここで「夕方に咲く花」が流れ、幕。

今回は途中までホラータッチだったが、最後にはエンクミの強引な物言いで、ちょっといい話し風になってしまった。望月が妙にいい人過ぎたためだ。エンクミにも望月にも賛同できないエピソードだった。

次回、「ヒエロニムスの下僕(しもべ)」。あの男が帰ってくる。果たして悪評を覆せるのか、渡来教授の実力が試される。

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コメント

こうさぎに導かれてお邪魔しました。
はーはーちゃんが激しくツボだったので(笑)トラックバックさせていただいたのですが、よろしかったでしょうか…?

投稿: Velta | 2004.06.27 02:06

>Veltaさん

ようこそおいでいただきありがとうございます。トラックバック、もちろん自由にしてくださってかまいません。
ですが、わたしが長々と席を外している間に、ブログを閉じられたとのこと。残念です。お礼のコメントを書きに寄せていただくこともできないままで、大変失礼しました。
またどこかで機会があれば、ぜひよろしくお願い申し上げます。

投稿: ANCHOR | 2004.09.04 19:44

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 鋼鉄駒鳥の午睡さんの文字化けしまくりなトラックバックは、実は私です(笑)。エキサイトのブログにトラックバックすると文字化けしちゃうんですが、ロビンさんの御好意... [続きを読む]

受信: 2004.06.27 02:03

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