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2004.03.07

ジーン・ロッデンベリーが語る「TAS」

www.startrekanimated.com にある記事の翻訳を、ウェブマスターの Kail Tescar 氏の許可を得て紹介する。
まずは1973年出版のファンクラブ会報(FAN CLUB NEWSLETTER)に掲載されたジーン・ロッデンベリーへのインタヴュー記事。「STAR TREK THE ANIMATED SERIES」放映前のインタヴューで、TAS制作のきっかけや、TOSとTASの違いをどう捉えているかなどが興味深い。


■スタートレックのクリエイター、プロデューサー、ディレクターであるジーン・ロッデンベリーが答える。
『アニメ版スタートレックはなぜ作られたのか?』

Q 『アニメ版スタートレック』のコンセプトが考えられたとき――そのすべての始まりはいつで、決定に至る理由はなんだったのですか?

ロッデンベリー(以下R) TOSの放映が終わって以来、アニメをやらないかという話を何度かいただいた。全部断ったのは、当時声をかけてきた人々が「うひゃあ、すごいやカーク船長」とでも言いそうな士官候補生たちでいっぱいの船が出てくる“子供向バージョン”が作られることに、興味津々なのが明らかだったからさ。そんな風にスタートレックをおとしめることはしたくなかったんだ。スタートレックという潜在的価値のある資産が、その種の扱いでまさに台無しになってしまうと感じたんだ。わたしは彼らに言ったよ。わたしがクリエイティブを管理して、スタートレックが同じキャラクター、同じタイプの脚本家たちなど、本来あるべき姿で作られるよう保証できない限りはアニメ化しないってね。そしてついにフィルメーションとパラマウントから今回の申し出が届いたのさ。それがどうやってわれわれがスタートを切ったかということだ。


Q スタートレックの主な出演者たちは、アニメ化されることをどう感じていますか?

R アニメ化すると決めたとき、われわれにはやらなければならないと確信することがあった。オリジナル・キャストを声優に迎えたいということ、オリジナルのスタートレックの脚本家を使いたいということだ。ドロシー・フォンタナと話ができたのは幸運だったよ。彼女は前のスタートレックのストーリー・エディターで、今はアソシエイト・プロデューサーなんだ。そんなわけで、われわれは本質的に同じメンバーで構成されているのさ。驚いたことに(そして実にうれしいことに)、フィルメーションのスタジオにいるかなり多くのスタッフとアーティストたちがスタートレックのファンだったんだ。扱われ方が平均よりよくなりそうだとわかったよ。彼らはスタートレックがかつてあったのと同じように復活することを望んでいたんだ。スタートレックのオリジナルキャストが関係しているだけに、スタッフらの反応はファンのみなさんの反応と同じだったと思う。最初彼らはこの企画に乗り気じゃなかった。というのも“土曜の朝”と言うとき、この時間帯のアニメがどんな風なのかを連想するからね。彼らのわたしに対する意見はこうだった。「あなたはまさにスタートレックをぶち壊そうとしてるぞ」 それでわたしは、わたしが念頭に置いていたやり方でやるつもりであることを、彼らに話さなくてはならなかったんだ。彼らにフィルメーション・スタジオを訪問させて、そこで描かれている絵と、われわれの作品に対するアプローチの注意深さを見せたところ、もちろん彼らの不安は解消されたよ。


Q どの年齢層あるいは年代を惹きつけるだろうと思っていますか?

R あらゆる年齢層を惹きつけたいね。明らかに土曜日の朝は子供向けの時間だが、もしその時間帯におもしろい番組が作られるなら、多くの大人たちも楽しんでくれると思う。わたしは子供が観るものと大人が観るものとの間にそれほどの違いがあるとは思わないし、違いが必要とも思わない。最もよい例は、大人のために作られていた夜の番組であるスタートレックが、非常に多くの子供の視聴者をも惹きつけたということじゃないかな。夜に放映されたスタートレックへのファンレターは、子供たちだけでなく大学教授たちからも寄せられた。だからとても興味深いなにかを伝えるものだと思っているのさ。


Q アニメ版スタートレックとオリジナルのスタートレックとの違いはなんだとお考えですか?

R アニメーションは異なった形式だ。実写版でできてアニメ版でできないことはたくさんある。いくつか例を挙げるなら、われわれにはディズニーがやったような種類の動画、表情の特徴を捉えた精巧な絵を描く術がない。『白雪姫』や『バンビ』などに使われたディズニータイプのアニメーションは高価になってしまって、とてもじゃないけどできないんだ。だから実写版なら役者が台詞を言うと、視聴者はその演技力や嘘をついているかどうかまで表情からわかるが、そういうものは失なわれる。アニメーションではその種の機微は得られない。だからわれわれは、実物の役者が見せる演技の機微といったものを失うだろうことはわかっている。描けることの大部分は、ちょっと歩いたり頭を動かしたりといった程度のことだ。一方でアニメの利点もあるからバランスがとれているんだ。もしもある話の中で50フィートの背丈があるミスター・スポックを登場させたければ、50フィートの彼を描くのは6フィートの彼を描くのと同じくらい簡単だ。もし植物から派生した知的生命体がいる惑星に行きたければ、それもお望み通りだ。そう、実写版を制作するときは俳優組合で知的な植物を探し出すなんてことはできないからね。もしも幅50マイルのエキゾチックな宇宙船を出したければ、《エンタープライズ》号を描くのと同じように簡単に描けるんだ。つまり結果として、いくらかを得て、ほかのいくらかを失うのさ。われわれの希望は、オリジナルの作家たちとオリジナルのスタッフたちを巻き込んだことによって、彼らがアニメーションでも可能な限りの高いレベルを保つだろうということだ。


Q TOSの主要なキャラクターは、アニメ版スタートレックにも出てくるのですか?

R かつてないことだからこの業界の誰もが信じないだろうが、どの主要な登場人物もみな戻ってきて、自分の声をあてることに同意している。そうすることで、作品のレベルが高く保たれるだろうことを確信させてくれた。


Q アニメ化によって新しいキャラクターは登場するでしょうか?

R 登場するとも。そこがおもしろい部分のひとつさ。アニメ版スタートレックを観てごらん。新しい二人のキャラクターもね! 実写版では三本手と三本足の生き物や、猫女の話なんかできないだろう。夜の番組でメイクアップと特別な器具にかかるコストは目が飛び出るほどだよ。毎日つけたり外したりしていたあのミスター・スポックの耳がまさに有名だね。アニメでは、しかしながら、もしあなたが双頭人や三本足の男、あるいは猫女を出したければ、人間を描くのと同じくらい簡単に描くことができるのは明らかだ。だからアニメの利点のひとつがこれだと思う。ファンたちは番組を通じてさらに多種多様なエイリアン生命体を観ることになるだろう。宇宙船も同様さ。


Q 『まんが宇宙大作戦』は何話作られるのでしょう?

R アニメ作品のやり方として、16話を1クールとして何度か繰り返すということだね。もし成功するなら、今から半年で16話を終えて、次の16話を作るだろう。さらに希望を抱いてもう16話作るかもね。アニメーションの経済はすぐに再放送されることに基づくものだ。あるファンが「同じものを何度も観なくて済むように、最初から30話とか40話とか作ればいいじゃないか」と批判するのはかまわないが、わたしからの答えは「そうしたいものだね」ということだ。不幸にもわれわれはほかの誰もと同じように、産業の経済面に囚われているんだ。


Q アニメ化を、本当にやりがいがあるとお考えですか?

R ああ、やりがいがあるとも。NBC、フィルメーションそしてわれわれ自身にとってすばらしい冒険だ。恐ろしいほど多くの資金と時間と手間を、もし今よりもっと知的な番組を土曜の朝に流せるものならそうしようじゃないかという信念の下に、投下するんだからね。実際これがうまくいったったなら、スタートレックは画期的な作品になるだろう。土曜日の朝に放送される番組すべてを変えることになると思う。うまくいけば、ほかのエリアにいる子供たちも今よりいい番組を見られるようになるさ。うまくいかなければ、みんなが口々に「だから言ったのに」と言うだろうし、子供向け番組は冴えない、想像力が貧困で侮辱的でさえあるつまらない作品が幅をきかせるだろう。これまで何年もそうだったようにね。


Q 新しいアニメ版スタートレックについて、ファンクラブの会員たちに知らせておきたいなにか特別なことはありますか?

R まず第一に言いたいのは、アニメーションになって失われるものが確かにあるが、なんらかの興奮させるものや得るものがあるのも事実だということで、バランスが取られているということだ。適切に作品の制作管理ができるようになるまで、われわれがスタートレックのアニメ化を待っていたということを理解してほしい。アニメ化を許可した理由のひとつが、オリジナルのスタートレックの放映を再開する機会を得ることに利用した、ということもわかってもらいたい。アニメが大きなヒットを飛ばすことになれば、われわれはそう望んでいるんだが、もしも子供たちの知性レベルなどについてのわれわれの推測が正しければ、オリジナルを放映するのにとてつもなく大きな助けになるだろうね。


Original article on TAS interviews with Gene Roddenberry
Star Trek(TM) is a registered trademark of Paramount Pictures in the United States.
Special Thanks to Mr. Kail Tescar
E to J Translated by ANCHOR


ロッデンベリーは並々ならぬ意欲でTASの制作にあたったようだ。声優にTOSの俳優を配することはもとより、スタッフや脚本家にもオリジナルの人材を多く揃え、アニメ化の実作業を担当するフィルメーションにも相当注文をつけたらしい。「わたしは子供が観るものと大人が観るものとの間にそれほどの違いがあるとは思わないし、違いが必要とも思わない」という発言には、プロデューサーとしてのロッデンベリーの考え方がよく現れている。相手が子供だからといって“子供番組でちゅよ~”などとおもねる必要はなく、大人が見ておもしろいものを作れば子供にとってもおもしろいはずだという考え方を、このTASで実践しようとしたのだろう。

結果としては、彼が恐れた“子供向バージョン”の壁を越えられなかったのか、2クール目の途中で打ち切りになってしまった。彼の描いた夢は潰えたわけだが、それはSTにとって不幸だっただろうか?

ロッデンベリーの発言によれば、このアニメ制作をきっかけに、オリジナルであるTOSの再放送が実現したらしい。さらにTASがヒットすれば、再放送をもっと流しやすくなる――という環境だったようだ。おそらくTASが成功していれば実写の次回作も順調に制作されることになっただろう。『スタートレック:フェイズ2(TV向けに予定されていた続編で撮影も始まっていたが、スター・ウォーズの大ヒットにより映画制作に転向、一部のキャストを引き継ぐ形で映画『スター・トレック:ザ・モーション・ピクチャー』が作られた)の制作にもっと早くGOが出て、その結果映画もTMPではないものが作られ、今とは違うSTの歴史が紡がれていたのではないか。ひょっとしたらTNGもDS9も、生まれていなかったかもしれないのだ。

コケてくれてありがとう、TAS

なににでも、存在する理由がある。だから認めてやってほしい、TASを。

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コメント

そんな話がまんが宇宙大作戦にあったとは知りませんでした。
一度は観てみても良いかなと思いましたが、広島で放映していないんですよね、衛星にも入ってないし…
深夜枠で放映してくれないかなぁ。

投稿: 柊龍司 | 2004.03.21 16:13

>柊龍司さん
そうなんです、放映される機会が少ないスタートレックシリーズのなかでも、群を抜いて放映されないのが「まんが宇宙大作戦」最大の弱点ですね。
本放映のキー局が東京12チャンネルなので、わたしも本放映では観ていません。
友人のなかには、スタートレックとの出会いが「まんが宇宙大作戦」だった、という剛の者(?)もいますが……。

投稿: ANCHOR | 2004.03.21 23:25

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