ネギ豚vs豚の角煮
ネギ豚ブームである。
しかし世の心無い人々は我がネギ豚を評して曰「なんや、豚の角煮やん」とのたもうていると言う。
違うっ!(ばんっ)
断じて違う!(ばんっばんっ)
豚の角煮とは根本的に異なるのである。作ったことがあればすぐわかる。
豚の角煮は、まず豚バラブロックを茹でる。臭み消しにネギとショウガを入れるが、そのネギは食材の地位を得ていない。
さんざん茹でたところで一旦湯から上げ、湯は捨てて鍋をきれいに洗う。湯は漉して戻してもよいが、いずれにせよ手間がかかるのである。
湯から上げた豚は食べやすい大きさに切る。よいか諸君、ここで肉を切り分けるのだ。思い出せ、ネギ豚は最初から切っていたことを。
切った肉を鍋に戻してようやくこの段階で調味料を投入。よいか諸君、思い出せ、ネギ豚は最初から入れていたことを。
醤油、日本酒、みりん、砂糖。ひたひたに水を加えてぐつぐつ煮込む。当然肉からは水が出ないので水分は外から補給する。よいか、諸君、ここまで言えばもうおわかりだろう。
豚の角煮とネギ豚との明かな違いは八つ。
違いその壱: 角煮は茹でから煮込みへ、ネギ豚は煮込みっ放し
違いその弐: 角煮のネギは臭み消しで途中退場、ネギ豚のネギは一方の主役であり終幕まで舞台に立ちっ放し
違いその参: 角煮は途中で汁を入れ替え、ネギ豚は入れ替えない
違いその四: 角煮は茹でてから肉を切り、ネギ豚ははじめから切る
違いその五: 角煮は日本酒使用で和風、ネギ豚は紹興酒で中華風
違いその六: 角煮に使うみりんと砂糖を、ネギ豚は使わない
違いその七: 角煮は単なる水で煮、ネギ豚はネギから出る水で煮る
違いその八: 角煮は手間と時間がかかり、ネギ豚は簡単快速
これだけの違いがあるネギ豚にもかかわらず、お裾分けしてやったわたいの同僚は行きつけの飲み屋に持ち込んでふるまった挙げ句、週明け早々から「角煮、好評だった」と小ふざけた台詞を吐き、一緒に行ったらしい他のセクションの課長から入った短いメールには「ひょんなことから角煮をいただきました」と理解の浅いコメントが綴られていた。まったく世論の支持を得られていないではないか。
お前ら、食っておいてなんだ、その体たらくはっ! 自分の食ったもんをよく見て発言しろっ! ネギと豚食ったろうっ、ネギと豚っ。ネギと豚食ってなぜ角煮だっ。ネギと豚だからネギ豚だっ、これでいいのだっ(天才バカボンの主題歌が大きく鳴り響く中、緞帳がゆっくり下がり、幕)。
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